さらに理想の姿に近づけるには、次のレベル「共同の資金と予算計画」作りが必要だ。途上国では多くのニーズがありながら、支援組織は慢性的な資金不足に喘いでいる。特にNGOや現地の市民社会には大きなポテンシャルがありながら、資金がないために活動ができないことが多い。共同資金とそれに基づく合同の予算計画が可能になれば、多くの団体・組織が参画でき、実施計画、モニタリング・評価を合同で実施するインセンティブも働く。

 途上国政府や支援組織は複数のドナーから資金供与を受け、多くの報告書を作成しなければならず、大きな負担を強いられることがある。したがって、もうひとつ連携・協力・協働で考慮すべきは「共同報告書」である。

「国別調整メカニズム」とは

 このような連携・協力・協働の理想の姿を「One plan, One monitoring, One budget, One report」などという。開発援助に限らず、究極のパートナーシップを組もうとするなら、これらが理想の姿であることを理解できる人は多いだろう。

 しかし、それに関わったことのある人であれば、理想の姿に近づけることがどれほど難しいことかもわかっている。

 というのは、組織によって独自の計画・実施・評価サイクルがあり、独自の資金調達、報告システムがある。現実的にそれを大きく変えることが組織の管理運営システム上難しい、また説明責任上難しいのである。

 また、パートナーとなる組織の規模・能力には大きな違いがあり、それぞれの独自性・ポリシーもあるため、自分の組織が飲まれてしまう、独自性が保てなくなる、などの懸念を抱くこともある。

 そのため、グローバルファンドが140カ国以上の状況の異なった国で感染症対策を加速化するには、パートナーシップを促進する新たなメカニズムが必要だった。そこで創設したのが「国別調整メカニズム(Country Coordinating Mechanism: CCM)」である。資金を提供する条件として、各国で調整メカニズムを構築・促進したのである。

 その調整メカニズムには、現地政府、国連機関、国際NGO、現地の市民社会、民間セクター、当事者組織など、感染症と戦うために必要な各セクターの代表が参画し、それぞれのセクターの立場から、各国の事業実施計画書の作成や、資金受け入れ責任機関の選出などに関わり、最終的な合意形成に加わる。