「本当の意味で」というのは、誰もが総論では連携・協力・協働に賛成し、「見かけの」連携・協力・協働は進めるものの、「本質的な」ものはなかなか具現できないものだからである。

 これは援助に限った話ではない。読者が所属する会社や組織にも当てはまるだろう。行政を例にとってもいい。「縦割り」の弊害に対し、「本当の意味で」の連携・協力・協働が進んでいるだろうか。重要性を誰もが認めながら、具現化が難しいという事実はないだろうか。

 いずれにせよ、1990年代後半、国境を無視して拡大し続け、国家の存立をも危うくする感染症の脅威から人類を救うため、すべてのアクターやプレイヤーが「本当の意味で」一致団結する必要性が世界で高まっていったのである。

「Why」から始まる「21世紀型パートナーシップ」

 では具体的に「21世紀型パートナーシップ」とはいかなるものか。

 パートナーシップを構築する上で最も重要なのは"Why"。「なぜ」パートナーシップが必要なのか、その必要性や意義・価値についてのパートナー間の合意である。

 このWhyは、How、Whatよりも重要だと私は思う。パートナーシップの必要性や意義・価値というのは根幹の部分で、それについて同感・共鳴するパートナーが多ければ多いほど、またその思いが強ければ強いほど、パートナーシップ構築の推進力は強くなる。また、Whyの答えが単純・明快であるほうが、説得力は強まり求心力も高くなる。

 グローバルファンドの場合、「なぜパートナーシップが必要なのか」は単純明快だ。既に目の前で多くの人々が感染し死亡し、存亡の危機に瀕する国もある。パートナーシップを通じて、一刻も早く感染を減らし、多くの人々の命を救わなければならない、との世界の強い願いがあった。

 ただ、必要性がわかっていても、パートナーシップをどう構築するか(How)、それを通じて具体的に何をするのか(What)が明確でないと具現化することはできない。これらは具体的であればあるほどよい。パートナー同士で議論を重ね、すべての構成員が理解し合意できるHowやWhatに対する答えが必要である。

 ビジネスの世界では、これらWhy-How-Whatの重要性は十分に知られ、私が今さら説くまでもない。多くの会社は"VMOSA" (Vision, Mission, Objectives, Strategies, Action Plans)のような形で、会社・組織の使命、目標、戦略などを明示しているはずである。