SDGsの達成に向けて実際に前進しているかどうか、進捗状況のモニタリングやレビューが重要である。グローバルな定期的レビューについては、国連経済社会理事会の主催の下、ハイレベル政治フォーラム(HLPF)で実施することになっているが、国レベルのSDGsの進捗状況については、原則として、各国が自主的、主体的に行うことになっている。

 しかし、国際的な法的拘束力がない中で、すべての国が透明性のある、包摂的な、適切なフォローアップレビューを行えるのか、それに基づき改善に向けた努力をしていけるのか、という懸念があり、政治的意思、執行・調整・実施能力、透明性や説明責任が不十分な国に国際社会がいかなる介入・支援をしていくかが重要となる。

「Win‒Win‒Win」の構築を目指して

 日本はSDGsに対して国を挙げて真剣に取り組んでいるのだろうか?

 2016年5月、日本政府は、安倍総理を本部長とする「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」を設置し、12月にはSDGs達成に向けた日本の実施指針を発表した。これには日本として「あらゆるひとびとの活躍の推進」「健康長寿の達成」「省・再生可能エネルギー、気候変動対策、循環型社会」を含む8つの優先課題が示され、SDGs達成に向けた国内および国外向けの具体的施策、ターゲット、指標、関係省庁などが示されている。

 この推進本部の下には、行政、NGO、NPO、有識者、民間セクター、国際機関、各種団体等の関係者が意見交換を行うSDGs推進円卓会議を設置し、SDGs達成に向けた連携も進めている。

 日本の市民社会はMDGs時代からその達成に向けて活発に活動していたが、ポストMDGsについても、そのアジェンダ設定などに関して市民社会のプラットフォームを作ってアドボカシーを続けてきた。

 SDGs時代においては、途上国の貧困削減、社会開発に関わるNGO・市民団体のみならず、国内外の環境保護や気候変動対策などを推進していた市民社会も加わり、活況を増してきた感がある。

 既に市民社会は、政府のSDGs推進円卓会議をはじめ、様々な場でアドボカシーを進めているほか、SDGsに関する一般市民や企業に対する普及・啓発活動、省庁・国際機関・事業者・研究者などへのSDGsに関わる提言・協働強化、SDGsに関わる調査研究、国連総会などへの参画、など多種多様な活動をしている。

 また、SDGsにおいては企業は実施の主要な担い手として認識され、各企業の事業にSDGsがもたらす影響が解説され、持続可能性を企業の戦略の中心に据えるためのツールと知識が提供されたSDG Compass(コンパス)と呼ばれる企業のための行動指針も用意されている。

 既に、SDGsの活用が進んでいる企業もあるようで、新たな経営計画や企業の社会的責任(CSR)計画の策定指針にする、自社の製品やサービスが課題の解決にどのように生かせるか、顧客企業や投資家に伝える「共通言語」として使う、社員の奮起を促し、新しい事業のアイデアを社内から拾い上げる、などの取り組みが行われているという。

 ただし、これらの取り組みは日本国内のメディアでは取り上げられ、私も日本人として日本を注視しながら眺めるとその動きが見えるのだが、プラネットの視点からはまだまだ日本の政府、市民社会、企業などが貢献できる、むしろリードできる余地はあるように思える。

 たとえば、日本政府のODAに関しては、GNI比で0.2%のレベルであり、0.7%目標を達成するにはODAを3倍以上に増額する必要がある。これによってできる途上国、そして地球への貢献は多大である。

 また、SDGs達成に向けた政府のリーダーシップは、省庁間やセクター間、また市民社会や民間企業との連携・協働を本気で促進して、世界に誇れるTransformativeな役割を果たし、成果を示せるのか、またはBusiness as usualで終わってしまうのか。今後の働きに注目したい。

 日本の市民社会については、欧米の市民社会に比べて、特に社会開発分野で、開発途上国に対する現場での実質的な貢献が不十分な感がある。たとえば、グローバルファンドでは世界の様々なNGO、市民社会と世界100カ国以上で感染症対策の支援事業を展開しているが、日本のNGOや市民社会はそこにほとんど参画していない。SDGsにおいても、アドボカシー・提言、普及・啓発活動のみならず、国内外のSDGs達成に向けた担い手、官産学ではできない、またそれを補完する形の実施部分に食い込んでいってほしいと思う。

 また、日本の民間企業に関しては、その資金、優れた技術力・ノウハウ、効率的かつ質の高いサービスで途上国に求められるものは多くあり、ODAでは達成できない開発効果が大いに期待できるが、実際にはまだまだSDGs分野で国際貢献・展開をしている企業は少ない。感染症分野でも、日本の研究開発能力、実際に開発された製品の有用性などは決して欧米に負けてはいないと思うのだが、グローバルな視野で見た場合には、官民産学の連携、マーケティング力、その他で見劣りすることが多々あるのである。

 具体的には、技術力やノウハウがあっても、現場のニーズや状況が理解できていないため品やサービスの開発に至らない、開発に至っても、現場で試行・導入するための資金・人脈・ノウハウがない、試行・導入できても、その後、市場展開するマーケッティング戦略やノウハウがない、など、一企業だけでは解決困難なことも多いのである。日本の民間企業は官民学との連携を通じて、SDGs目標達成の原動力・駆動力に進化していってほしい。

 SDGsは日本にとって大きなチャンスである。日本国内の課題を開発途上国そして地球の課題と連係・連動させることで、日本がもつ資源の効率的・効果的な活用・活性化ができる。具体的には、SDGsの各分野に対する国内施策と国外施策、それに費やす国内予算とODA、それに関わる国内と国外での人材、それに必要な国内と国外向けの知恵・技術・ノウハウなどをうまく連係・連動させることで、国内問題の解決と国際貢献にWin-Win関係を構築し、シナジーを作ることができる。

 SDGsは国内外での大きなビジネスチャンスでもあり、ODAとビジネスと途上国・地球にWin-Win-Win関係をもたらすこともできる。

 今年はSDGsの2年目。2030年までの目標達成、理想具現に向けてあと14年。SDGsを知るだけでなく、是非参画して、地球のためのWin-Win-Win関係を築いてほしい。