急成長を遂げている居酒屋チェーン大手の鳥貴族。「和民」など総合的なメニューの居酒屋チェーンが苦戦する中、焼き鳥という専門性を打ち出したことと、280円均一(税別、以下同)という安さで人気を集めた。関東、東海、関西地区に集中的に出店を続け、580店以上を展開。過去2年は年間70店を超えるハイペースの出店だった。

値上げに業界の内外で大きな話題呼ぶ

 その鳥貴族は今年8月、値上げを発表した。28年間維持してきた280円均一を298円均一へと約6.4パーセント、価格を上げた。人件費、食材費などコスト増を受けての判断だ。

 「デフレの勝ち組」とも呼ばれた同社の値上げ判断は業界の内外で大きな話題を呼んだ。人件費、食材費などのコスト増は外食業界に共通の課題で、特に低価格業態への影響が大きい。コスト増による利益率の減少を解消するため「値上げに踏み切りたい」と考える企業も多いが、一方で客離れを懸念して判断に迷っているのが現状だ。

関東、東海、関西地区に580店以上を展開する鳥貴族。店舗で鶏肉を串に刺して焼くのが特徴の1つ(写真:宮田昌彦)

 値上げは客単価の上昇につながり利益率は改善するが、価格に敏感な消費者への影響から来客数が減る可能性が大きい。来客数の減少を最小限にしないと売り上げが減ってしまう。「長らく続いたデフレの影響で消費者の財布のひもは緩んでいない」と話す経営者も多い。

 そうした状況下、業界関係者からは「鳥貴族の値上げ後の動向を見て、ウチも値上げするかどうかの参考にする」との声が聞かれるほどだ。

 株式市場も敏感に反応している。値上げを発表した8月28日の鳥貴族の株価の終値は、前営業日比で8パーセント以上高い2815円まで上昇した。同社の利益拡大を期待したプラスの反応だと見られている。さらに、9月13日には2018年7月期の業績が大きく伸びる予想を発表し、翌日の株価が同約15パーセント高の3075円へと跳ね上がった。