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 たとえばルノー・グループが業績不振の場合に変動要素を支払ったり、長期報酬に対して不釣り合いなほど短期変動報酬を大きくしたり、あるいは過度なリスクテイクに褒賞を与えたりすることは行わない方針などだ。ここまでで2ページが費やされている。

報酬委員会からの手紙

 次に説明されるのが、ではその「プラクティス」に沿って、実際に報酬をどう決めていくのか。

 まずは報酬委員会委員長パトリック・トーマス氏から株主に宛てたレターが登場する。「17年6月15日の株主総会において、会長CEOの16年度報酬に対して賛成の意見を示されました。まずは承認の投票に対してお礼申し上げます」とうやうやしく始まり、そこからは1ページにわたって1年間の振り返りだ。

 例えばルノーでは18年2月にティエリー・ボロレ氏がCOO(最高執行責任者)に任命された。よって「経営上の多くの責任がCOOに委任され、会長兼CEOの全体的な報酬額を減らすことを勧告しました」(トーマス氏)。

 ここからがようやく本番、詳細の説明である。これが本当に長い。まずは18年度の報酬の決定方針をどのように決めたのか。次が、17年度は報酬決定にあたってどんな方針が掲げられていたのか。そして実際に報酬額を決めるにあたって、17年度の経営実績がその方針にどのように落とし込まれたのか。

 すべてを挙げるとキリがないが、たとえば固定報酬と年間変動報酬、長期報酬について、それぞれどのような形で支払われるのか(現金なのか株式なのか)、金額はいくらなのか。そして変動部分はどうやって決めるのか(株主資本利益率、営業利益、フリー・キャッシュ・フローの実績がどう反映されるのか)といったことが延々と説明されていく。

 イメージしやすいように17年度の年間変動報酬についての項を書き出してみると、

<年間変動報酬>
支払い方法
25%は、取締役会による金額の決定に従い、現金で支払われる。
75%は、繰延ベースの株式により支払われ、3年間の在籍条件に従う。
金額
定量化可能な(財務上の)及び質的(経営上の)基準の達成を条件とし、固定報酬の120%を目標とする変動部分
以下を条件とする追加の例外的な変動部分(固定報酬の60%)
すべての定量化可能な(財務上の)及び質的(経営上の)基準の達成
追加の業績基準の達成
業績基準及び加重基準
定量化可能な(財務上の)基準→最大で固定報酬の85%
株主資本利益率(ROE):最大で15%
ルノー・グループ営業総利益(グループOM):最大で35%
フリー・キャッシュ・フロー(FCF):最大で35%
質的(経営上の)基準:最大で固定報酬の35%
フランスの複数年契約の監視:最大で7%
企業の社会的責任及び環境へのコミットメントの質:最大で8%
アライアンスのシナジー及びパートナーシップの構築:最大で10%
複数年にわたる研究開発戦略の構築:最大で10%
追加の例外的な変動部分‐追加基準:固定報酬の 60%
ルノー・グループ営業総利益(グループOM)が予算と同等又は予算+0.5ポイントを上回る。
営業フリー・キャッシュ・フロー(FCF)が年間予算の100%と同等以上

 ……といった具合である。