経営再建中のジャパンディスプレイが新規事業の戦略発表会を開催した。派手で華やかな発表会は2回目。矢継ぎ早に戦略を打ち出すが、物足りなさもある。消費者向けビジネスの販売戦略は不透明なままだ。

派手で華やかな演出は、今回も同じだった。ジャパンディスプレイ(JDI)が12月4日に開催した、新規事業の戦略発表会のことだ。壇上を覆う全面スクリーンに映し出される映像を背に登壇者が歩きながらプレゼンする様子はどこか、米IT大手の発表会をほうふつとさせる。
中小型液晶パネルというBtoB(企業向けビジネス)を手掛けるJDIにとって、風変わりといえる発表会。仕掛け人は、JDIの伊藤嘉明常務執行役員だ。中国ハイアールが買収した、旧三洋電機の白物家電事業会社のアクアで社長を務めた。日本コカ・コーラやソニー・ピクチャーズエンタテインメントなどを渡り歩いたマーケティングのプロといえる人物だ。
冒頭に「今回も」と書いたのは、この戦略発表会が2回目となるから。今年4月に新規事業を手掛ける「マーケティング・イノベーション&コミュニケーション戦略統括部」を発足。約100日後となる8月1日に1回目の戦略発表会の開催にこぎ着けた。

1回目となる8月の発表の目玉は、BtoC(消費者向けビジネス)への参入だった。鏡にディスプレーを内蔵し、カメラと組み合わせることで髪形など自分の後ろ姿を確認できる「後ろ鏡」や、ヘッドアップディスプレー技術を応用してシールド部に速度メーターなどを表示できるヘルメット「スパルタ」などの開発品を含めた5件を発表した。
データ領域への参入を発表
では、2回目となる今回はどうか。発表案件としては前回の2倍の内容を打ち出した。そのなかでJDIがアピールしたのが、データビジネスへの参入だ。
具体的には、英半導体設計大手、アーム・ホールディングス傘下でビッグデータ管理を手掛ける米トレジャーデータとの協業を発表。JDIのハード(液晶ディスプレーやセンサー)とトレジャーデータのソフト(データ分析)を組み合わせて、データの収集から解析、情報の提供までをソリューションとして提供する考えだ。
ハードを手掛けるJDIは、タッチ入力などのセンサー事業の開発強化を打ち出した。具体的には、大画面ディスプレーのどの場所でも認識できる「大面積認証センサー」や、触れずに指を浮かせた状態でも操作できる「ホバーセンサー」を19年に量産、曲げたり伸ばしたりできる「ストレッチャブルセンサー」も19年に開発発表する計画だ。
矢継ぎ早に新機軸を打ち出すJDI。だが、2回目の発表会で物足りなさを感じた部分もある。1回目の目玉だった、BtoCへの取り組み状況だ。
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