一連の不祥事を「十把一絡げ」にするメディア

 この後も、似たような不正が次々と明らかになった。復習の意味も込めて、一連の不祥事を下記に並べてみる。

●ここ数カ月で明らかになったメーカーの不正(発覚時のみ)
9月29日 日産自動車が国内6工場で社内の認定を受けていない社員らが完成検査を行っていたと発表(日経記事
10月8日 神戸製鋼所が顧客が求める品質基準を満たしていない部品を出荷していたと発表(日経記事
10月27日SUBARU(スバル)が同社の群馬製作所(群馬県太田市)で完成検査員の資格を持たない従業員が検査工程に携わっていたと発表(日経記事
11月23日三菱マテリアルの子会社3社で品質データを改ざんする不正が発覚(日経記事)。翌日に記者会見を実施(
11月28日東レが子会社の「東レハイブリッドコード」で製品データの改ざんがあったと発表(日経記事

 ここでは同じ表に並べているが、実際には2種類の不正に分かれる。「自動車メーカーが資格のない検査員に国が定めた完成検査を実施させていた」「素材メーカーが自社製品の品質に関わるデータを改ざんしていた」の2つだ。

 1社が起こした問題なのであれば、話は簡単だ。徹底的に不正が起きた理由を洗い出し、改善すればいい。だが、今回の不正は困ったことに、互いの現場に交流がないはずの複数社、しかも競合企業でほぼ同じ時期(発表の時期という意味ではなく、実際に不正が現場で起きていた時期)に同様の問題が起きている。だからどうしてもメディアは、十把一絡げに「現場のモラルが低下している」「品質に対する甘えだ」と処理してしまいたくなる。記者もメディアの一員だから、その気持ちはよく分かる。

 確かにその要素はあったかもしれないが、「真因」として考えた場合、記者にはどうしてもそれらが問題の本質であるようには思えなかった。3年前に「日経ビジネス」に異動になる前は技術誌「日経ものづくり」で7年間、その前の経営誌「日経ベンチャー(現・日経トップリーダー)」でも7年近く、製造業の現場を取材し続けてきた。カイゼンにはまり、企業のカイゼン活動に紛れてアイデアを出し、カイゼンの実務(その場で物の置き方や作業手順などを変えること)をしたこともある。ちゃんと数えてはいないが、現場に足を踏み入れた会社は優に100は超えると思う。

 当然、実際のモノ作りに関わっている方々に比べたらヒヨッコだが、記者という職業の性質上、自動車部品や装置といった組立系はもちろん、化学や鉄鋼といったプロセス系まで幅広い現場を見てきたという自負はある。長年の取材活動の中で、製造業に関わるたくさんの仲間たち(勝手にそう思っているだけだが)もできた。

 そんな仲間を近距離で見ていていつも思うのは、「真面目だな」ということ。過剰なまでに品質に対する意識が高い。モラルが下がっているようにも、品質を軽視しているようにも見えなかった。

 だとすれば一体、何が真因なのか。OBの取材時にはあたふたしてしまったので、改めてじっくり考えてみた。