年に一度の「メタボ検診」が生む意識変化
もっとも、だからと言って手をこまねいていて良いわけではないと石田氏は指摘する。
それは「消費者の健康志向は、ある意味で『国策』によって育まれてきた意識変化」(石田氏)のためだ。その国策とは具体的には、2008年から義務付けられている特定健康診査。いわゆる「メタボ健診」のことだ。40歳以上を対象に、生活習慣病予防のためメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目して、病気のリスクを検査し、保健指導を行っている。
健康診断は年に1度実施され、それを受診させることは企業側の義務。腹囲が男性85cm、女性90cm以上で血圧などの検査値に1つでも問題があるといった条件に該当すると、メタボリックシンドロームの予備群として保健指導の対象となる。
嫌でも年に一度は、健康を意識しなければならないので、ダイエットに関心を持たざるを得ない。そうした中で、比較的取り組み易い糖質制限が注目されてきたというのが石田氏の分析だ。
多くの人が「メタボ健診」で健康に興味を持つことは、健康関連のメディア情報を増やし、さらに健康関連の商品を増やす。それがさらに健康への関心を高めていく。長い目で見れば、こうした流れにあがなうのは得策ではない。
昨年、「いきなり!ステーキ」を展開するペッパーフードサービスでは社員がステーキを1日300グラム食べ続ける糖質制限と同時に筋力トレーニングをすることで、15キロ以上の減量と肉体改造に挑戦する企画を行って見事に成功し、話題になった。
サラダや枝豆、肉料理、刺し身など居酒屋のメニューは糖質制限に対応したものが多い。自店なりの工夫で健康志向のお客にアピールすべきだろう。

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