自動車やホテル、果ては人的リソースまで、遊休スペースや余力を有効に使おうとするシェアリングの世界は広がる一方だ。インターネットによって、所有者(貸し手)と借り手は、その関係性や物理的な距離を越えて繋がることができるようになった。ウーバーやエアビーアンドビーが、ハレーションを起こしながらもその存在感を日に日に強めていることは、もう疑いの余地がないことだろう。

シェアリングサービスの代表格である配車サービスの「ウーバー」(左)と、民泊サービス「エアビーアンドビー」(右)

 記者も、以前は旅行にいくとなればまずホテル予約サイトを検索していたところ、最近ではもっぱらエアビーアンドビーをまず見る。アクセサリーを買おうかなと思ったら、個人のハンドメイド作品を集めたサービスを見に行く。緊急時のシッターサービスやたまに頼む自宅の掃除も、いわゆる「プロ」ではなく、主婦の方などが登録するシェアリングサービスを利用している。

 元々は、手元にあるクルマを近所の人に貸す、友人を自宅に泊まらせるといったことや、農業や漁業での世界では仲間の作業を手伝うといったことは当たり前に行われてきた。その意味では、そうしたコミュニティが、インターネットの力によって再び復権してきていると言えるかもしれない。

 シェアリングビジネスはすべての業界で拡張し、「所有する価値」というものはすべからく薄れていくのだろうか。近著に『シェアリングエコノミー』があるニューヨーク大学経営大学院のアルン・スンドララジャン教授に話を聞いた。

ニューヨーク大学経営大学院のアルン・スンドララジャン教授

 スンドララジャン氏は、シェアリングエコノミーのインパクトを最初に受ける最も大きな市場は、自動車産業だという。つまり、所有の価値が薄れ、共有の価値が高まるのが、クルマなのだ、と。

 「高価格、高付加価値、『使われない時間がある』、この要素が大きければ大きいほどシェアリングエコノミーにフィットするのです。この観点から、今現在、もっとも所有の価値が薄れているのは自動車でしょう」

 自動車業界では、2016年にトヨタがウーバーに出資を決めたのみならず、独ダイムラーや独BMWは自らがカーシェアリングサービスを手がけるなど、自動車メーカーの取り組みが活発化している。