東京都内のJR山手線五反田駅から徒歩数分。桜田通り沿いに、とある小料理屋がある。カレーや釜揚げしらす丼など庶民的なメニューが並び、一見すると普通の飲食店のよう。しかし、実はこの店を運営する企業は一風変わっている。下水などの処理を専門とする中堅水処理プラントメーカー、共和化工だ。

共和化工は、と畜場の血液汚水処理業者として1959年に福岡県で創業した。代表取締役社長の吉村俊治氏は「家畜の糞尿処理事業、下水処理事業などを中心に成長してきた」と話す。
飲食業界とは無縁に思える共和化工が、なぜ小料理屋を運営するのか。その背景には、下水処理ビジネスを取り巻く環境の悪化があった。水問題の専門家で国連テクニカルアドバイザーを務める吉村和就氏は「業界は過当競争に突入している」と指摘する。
プラントの価格破壊で競争激化
下水処理では、浄化槽などを備えたプラントに有害物質を分解する水処理薬品を投入する。国内ではかつてプラントメーカーと薬品メーカーの住み分けがされていたが、大手水処理薬品メーカーがプラント事業に進出したことで、プラントの価格破壊が起こったとされる。自社の薬品をプラントに投入できるため、プラントの価格を大幅に抑えても利益を出すことができたからだ。
結果、その大手メーカーは急成長を遂げたものの、プラントの市場価格が下がったことで、他のメーカーには厳しい時代が到来した。
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