社員が運転する営業車で、仙台市内を走り回った。

 この日は仙台市内の5店舗を視察する予定が組まれていた。さすがにロータリーには迎えのクルマが待機していたが、黒塗りのハイヤーではなく、新車でも200万円クラスのトヨタ自動車「プレミオ」だ。あとで聞くと、ファミマの現地本部が所有する営業車とのこと。

 各店舗で沢田社長を迎えるのは、加盟店オーナーと店舗指導員(スーパーバイザー、SV)と呼ばれるファミマ社員だ。SVは日々加盟店に足を運び、あるときはファミマ本部の方針を加盟店に伝え、あるときは店舗運営を指導する立場にある。「困ったことありませんか」「うちのSVはちゃんと仕事してますか」。沢田氏が話しかけると、オーナーらは「お世話になってます。お世辞じゃなく、本当に親身になってもらってます」と笑った。

2時間で5店舗を次々と訪問した。

 印象的だったのは、沢田社長がアルバイトやパートの店舗スタッフにも積極的に話しかけていたことだ。

 ある店舗では女性店員に対して「お客さんが店内でヨーグルトを落としてしまったとき、丁寧な対応でお礼状をもらったそうですね」。もちろん現地本部の社員から事前に情報共有があったのだろうし、そんなことはこの女性店員もわかりきっているはず。それでも「私はいいですよ」と照れつつ、しかし最終的には笑顔で記念写真に収まる女性店員らの姿からは、社長訪問を心から楽しみにしていたことが伝わってきた。

どの店舗でも記念撮影は自然と笑顔があふれた。
もちろんサンクスも訪問した。この店舗は2017年2月にファミリーマートに転換する予定。

店舗訪問、表情を曇らす場面も

 予定調和な儀礼の尽くしあいばかりが続いたわけではない。

 「菓子パン、売り切れが目立ちますね」。ある店舗を視察中、沢田社長が表情を曇らせた。完売は喜ばしいことだが、商品の発注が足りていなかった裏返しでもある。コンビニ本部は売り上げ減少につながる品切れを嫌う一方、加盟店は売れ残りのリスクを恐れて発注には慎重になりがち。それでも店舗に発注増のメリットを訴えかけ、理解してもらうのがSVの仕事のはず。この店では、この「基本」が徹底されていなかった。

 この点、ライバルのセブンイレブンは業界随一の統率力を誇り、品切れが少ないとされる。沢田社長は9月のインタビューで「1店舗あたりの売上高が劣っているなかでは、謙虚にセブンさんを研究したり学んだりというのは大切」と話していた。この店は社長が訪問すると事前に計画されていた。それでも品切れしているという現実に、沢田社長は改めて自身の言葉を噛みしめているように見えた。店舗の視察はそれぞれ10分程度と短かかったが、それでも成果はあったようだ。