「うまいぞ!」「食べてくれ~!」

 そう叫んだかと思うと看板商品を手にとり、カメラに向かってポーズを決めたのは沢田貴司氏。サークルKサンクスとの統合により、今年9月に発足した新生ファミリーマートの新社長だ。「バカでも何でもやる」。就任直後、日経ビジネスのインタビューに語った「所信表明」(記事はこちら)は強烈な印象を残した。

 質・量ともに他社を圧倒する最大手、セブン-イレブン・ジャパンにどう対抗していくのか。市場の飽和もささやかれるコンビニ事業をいかに持続成長させていくのか。課題が山積するなかではあるが、沢田社長の前向きな言葉には「これからファミマはどう変わっていくのだろう」と、少なくとも聞き手をワクワクさせるものがあった。

 だが、正直なところ・・・。

 記者は戸惑ってもいた。軽いノリでぶち放たれるマシンガントーク。自分の会社のトップが沢田さんだったら、どうしても冷めた目で見てしまうのではないか。あえてくだけた表現を使うのなら、あのテンションには「ドン引き」してしまうのではないか。

沢田 貴司氏 1981年上智大学理工学部卒、伊藤忠商事入社。1997年ファーストリテイリング入社、98年副社長。2003年投資ファンド「キアコン」設立。05年企業支援会社「リヴァンプ」設立。16年3月ファミリーマート顧問、9 月社長就任。趣味はトライアスロン。59歳(写真:的野 弘路)

 沢田氏は伊藤忠商事の出身で、就任までコンビニの現場経験はなかった。

 コンビニは本部社員だけでなく、FC(フランチャイズチェーン)契約を結ぶ加盟店オーナーやアルバイト・パート社員など、数万人の現場スタッフが同じ方向を向いて初めて成り立つ。「身内」の彼らは沢田新社長をどう受け止めているのか。興味があった。

 そんななか、沢田社長に再び取材する機会を得た。

 記者が参加したのは、沢田社長が就任直後から社員向けに開いている「気合注入講演会」。全国のファミマ店舗の視察訪問とセットで、12月中旬までに全国で計16回が予定されている。記者はこのうち、11月初旬の仙台出張に同行させてもらった。身内に対してはどう振る舞っているのだろう。就任について、現場からどう思われているのだろう。