やっぱり、そんなに沢山は貰えない

日本は公的年金への依存度が高い
●日米の65歳以上世帯の収入構成
(注)日本は厚生労働省「平成27年国民生活基礎調査」。米国はEmployee Benefit Research Institute 2012

 日本の年金制度は、高齢者の受給分を現役世代の保険料などによって支える「仕送り方式」。170~180兆円の積立金はあるものの、支えられる側が増え、支える側が減れば制度は疲弊する。政府も年金改革を掲げ、毎年約1%ずつ年金額を抑えている。

 当然、年金で老後の生活費を完全には支えきれなくなる。現役世代の所得に対して、貰える年金額がどれくらいかを示す所得代替率という数値がある。2014年度時点では62.7%だが、厚生労働省の財政検証では2040年代に50%程度に引き下がるという。経済が低迷するシナリオでは40%を下回る可能性もあり得るという。

 将来年金の支給額が減り、受給開始も70歳などに引き上げられる可能性はかなり高い。将来年金を貰えないことは無いが、100年安心と言うほど頑丈なものでは決して無い。現実は、極端な悲観論と極端な楽観論の中間地点か、やや悲観よりの所にある。この事実を出発点として、世代間を超えた建設的な議論をする必要がある。

 行き詰まる年金問題の処方箋は何か。一つは、現在法改正で取り組んでいるように、支給額を緩やかに抑制すること。実はこれが上手くいっていない。先ほどの所得代替率は2004年時点では59%と現在より低い。この10年で4%ほど逆に上昇してしまっている。選挙に響くと、シニア世帯への配慮が強すぎた。現役世代への負担を抑えるためには、やはり早期の本案成立は必要だ。

世界では確定拠出年金がトレンド

 もう一つの解決策は個人年金の準備だろう。65歳以上世帯の収入構成を比較したところ、日本は公的年金等に68%支えられている一方で、米国は38%で依存度が低い。一方で米国は個人年金や企業年金の割合が18%と日本(6%)に比べて高い。

 日本の場合、退職一時金を受け取る事が多く、企業年金の数値が相対的に低くなる傾向はあるが、やはり、個人年金や企業年金の割合で3倍の差は大きい。個人年金を増やし、公的年金の縮小に備える自助努力が必要とされる。

 期せずして、個人年金の代表格である確定拠出年金制度(DC)に大きな動きがある。DCを通じて個人年金を積み立てると、所得控除などの税制メリットが得られるが、これまで個人型への加入は自営業や企業年金のない会社員に限られていた。しかし2017年1月から主婦や公務員など対象者が2600万人増え、ほぼすべての現役世代(約6700万人)が使えるようになる。

 個人年金であるDC制度の普及推進は、公的年金制度の疲弊の裏返し。これまで社会保険料をしっかり納めていたら、国民年金で老後の生活は支えられていたのに、自分の余裕資金を減らしてまで自分で将来資金を積み立てなくてはいけないのは、悲しい事かもしれない。

 しかし日本だけで無く、米英含めほとんどの主要国はDC制度の普及へ力を入れている。世界で高齢化が進む中、この流れは避けられない。

 

 年金支給額の抑制にどれだけ早く取り組むか。個人年金を支えるDC制度の利用がどれだけ拡大するか。実は年金を巡る重要な動きはこの数カ月に凝縮されている。ねんきん月間の最終日、11月30日は「いいみらい」と読めるということで、年金の日に制定されているそう。良い未来に繋がる流れが出来て欲しい。