高浜原発3、4号機の再稼働差し止め仮処分訴訟の抗告審が大阪高裁で始まり、原子力規制委員会の新規制基準の是非を巡る司法闘争が本格化している。裁判の行く末を握るのは裁判官が抱く「社会通念」だ。

 10月13日、大阪高裁で関西電力の高浜原子力発電所(福井県高浜町)3、4号機の差し止め仮処分申請に関する抗告審が始まった。福島第1原子力発電所事故以降、差し止め仮処分を認めた決定について高裁が審理するのは初めて。原子力規制委員会の新規制基準の是非をどう判断するかに注目が集まる。本来行政訴訟で争われるべき問題とも言えるが、実際に稼働中の原発を止めた決定の抗告審だけに、その注目度は大きい。

司法判断により再稼働が止められた高浜原発

 大津地裁の山本善彦裁判長は今年3月、差し止め仮処分命令を出した決定において、新規制基準を「公共の安寧の基礎となると考えることをためらわざるを得ない」と批判。7月の異議審決定も同じく山本裁判長が担当し、差し止めを引き続き認めた。

 大津地裁決定は、新規制基準の合理性を証明することまで関電に求めるという高いハードルを課したが、規制委は「実用発電用原子炉に係る新規制基準の考え方について」と題した資料を公表して支援に回っている。「脱原発弁護団全国連絡会」は、大阪高裁の証拠提出期限である12月までに「考え方」に対する反論書を取りまとめ、全国のほかの裁判でも証拠として利用する方針だ。規制委と弁護団の対決の構図がより鮮明になる。

 例えば、それぞれ独立した多層的な対策で事故の発生・拡大を防ぐ「深層防護」の考え方について、弁護団は最終層の「避難計画」に関する審査が行われていない点を問題視する。これに対し、規制委は「考え方」の中で「自治体が策定する避難計画に関し、規制委などがきめ細やかな関与や支援を行っている」と示した。 しかし、原告団は更に「自治体の避難指針は、前段階の防護層である放射性物質の拡散防止が機能する前提で作られている。対策の独立性が重要な深層防護の本来の考え方とは違う」と再反論する考えだ。