企業ニュースは、すべて「風が吹けば(桶屋ならぬ)誰が儲かる?」で出来ていると思う。

 たとえばフルタイムの共働き世帯が増えたことで、家事時間の短縮を実現する商品やサービスを世に送り出した企業が消費者の支持を獲得している(「消費の担い手『パワー共働き』をつかまえろ」)。あるいは人口減少が進むにつれ、移動販売車が各地で快走している(「『走るコンビニ』現場で見た光景」)。

 企業ニュースを担当する記者は世間にどんな風が吹いているのかを感じ取り、その風がどんな企業にどんな形で影響するのか、企業はいかなる対応を考えているのかを取材して記事にする。それが業界の新しいトレンドの端緒となりうることを示したり、社会の「いま」を描くことにつながったりする。

 だから寝ても覚めても「風が吹けば誰が儲かる?」を考え続けることが、記者にとっての最大の仕事。個人的に、そう信じてきた。

 ところがどうも、この「記者最大の仕事」も近い将来、テクノロジーに取って代わられてしまうかもしれないらしい。経済ニュースを自然言語処理技術で解析し、上場企業の業績への影響を予測するサービスが11月、試験的に始まったのだ。

10年分、30万本超の経済ニュース解析

 提供するのはゼノデータ・ラボ(東京・渋谷)。公認会計士の関洋二郎社長(34)が2016年2月に設立したスタートアップで、金融情報を分析するAI(人工知能)の開発を手掛ける。すでに三菱UFJ銀行や帝国データバンクなど計9社から出資を受けている。

関洋二郎社長は慶應義塾大学在学中に公認会計士試験に合格した、企業の決算情報解析のプロ。大手監査法人勤務などを経て、2016年にゼノデータ・ラボを設立した。

 新サービス「xenoBrain」(ゼノブレイン)は米ダウ・ジョーンズの過去10年分、30万本超にわたる記事を解析して、経済ニュースの因果関係を可視化。さらに上場企業の決算短信や有価証券報告書の解析結果と組み合わせることで、経済にまつわる出来事があったとき、その前後にはどんな出来事が発生し、上場企業の業績がどのように変化するかを予測する。