ゼノデータ・ラボの強みは金融機関出身者の多さにある。関社長は公認会計士として、大手監査法人でメーカーや小売企業などの財務監査に携わった経験をもつ。篠原廉和COO(最高執行責任者)も大手生保の株式投資部門出身。いわば経済ニュースや企業が公表する決算資料の解析作業のプロだ。

 日本語の連なりを分析して、書かれている要素と要素の関わり合いを可視化するだけなら、他のスタートアップでもできる。だが独特の言い回しも多い経済ニュースでは「2つの事象に因果関係があるかどうかの判断が難しい。金融経験者が多いからこそ正しいアルゴリズムを組める」と関社長は話す。

 ゼノデータ・ラボは2018年末をメドに、指定した企業の業績に影響しそうな経済ニュースを「逆引き」する機能も盛り込む予定。

 「ゼノブレインを開いてみたら、我が社の増益につながりそうなニュースは過去3カ月で14本、反対に減益ニュースは8本だって……。どれどれ、どんなニュースがあるんだろう?」。そんな利用のスタイルが浸透すれば、経営戦略の立案を担当する社員が自社のリスクをあぶり出すのにも使えそうだ。

「逆引き」機能のサンプル画面。自分の会社の業績に影響しうる新たなリスクをあぶりだすのに使えるかもしれない

記者はAIに代替されにくいはずだが……

 「雇用の未来」で有名な英オックスフォード大のマイケル・オズボーン准教授らの研究をひくまでもなく、記者業は一般的に、AIに代替されにくい職業とされてきた。だが日本経済新聞社が決算短信のサマリー記事を自動執筆する取り組みを進めているように、記者がこれまで行ってきた仕事のすべてが残るわけではない。

 AIに代替されない、人間にしかできない、本当に付加価値の高い仕事とは何だろう。この命題を考え続けることは、いい記事とは何かを追求することにもつながるといえるだろう。肝に銘じたい。