実例をみてみよう。「小麦価格の上昇幅が、市場予測を上回りそう」。そんなニュース記事の見出しをクリックしてみる。ゼノブレインがモノの数秒で弾き出すのは、次のような可能性だ。

・キッコーマンや山崎製パンは営業減益へ

・日野自動車や新日鉄住金は増収へ

 キッコーマンや山崎製パンはわかりやすい。小麦価格が高騰すれば、醤油やパンの原材料費がかさんで利益が削られてしまうからだ。ためしにキッコーマンの有価証券報告書(第101期)の「事業等のリスク」を参照してみると、たしかに小麦価格の上昇が業績に悪影響を及ぼすことが明記されている。

キッコーマンの有価証券報告書(第101期)より引用

複数の因果関係をつないで見える化

 では日野自動車や新日鉄住金に影響するのはなぜか。

 それは小麦価格が上昇(A)すれば農家の収入が増え(B)、農家の収入が増えれば農機などを含んだトラックの需要が高まり(C)、トラック需要の高まりによって鋼材需要も上向くから(D)だ。

 ニュース記事というのは、一つひとつは「AだからB」「BだからC」「CだからD」などと、シンプルな因果関係を伝えるものが多い。ゼノブレインの場合、大量の記事を解析することで、それら個別の因果関係をつなぎあわせ、最終的に「AだからD」という大きな流れを見えるようにしている。

ゼノブレイン利用画面のイメージ。将来的には、どんな経済要因が「どれくらい」企業業績に影響するかの重みづけの解析まで実現したいという。

 関社長は「企業が公表している決算情報は『こういう事業環境だったから、こういう業績になった』という過去の結果を示している」と話す。だが、これを「経済ニュースの分析と組み合わせれば、将来的に業績がどう変わっていくのかまで予測できるようになる」(同)。

 人間の力ではとてもカバーできなかった量の情報を解析すれば、これまで誰も気づかなかったような新たな業績の変動要因も発見することができるかもしれない。すでに三菱UFJ銀行のほか、「ひふみ投信」の運用などで知られるレオス・キャピタルワークスなど10社前後が導入を決めたという。