フリーランス希望で大手就職も

 「当初からフリーランスになることを志向して、あえて大手で何年か勤務経験を積む若者も増えている」。IT人材事業本部長を務める小幡千尋・執行役員はこう説明する。増加の大きな2つのきっかけとなったのが、2008年のリーマン・ショックと、それ以降の働き方の多様化や企業の意識の変化だという。

 リーマン・ショックでは、大手IT企業も大きな影響を受け、40~50代の技術者を中心にいわゆる「肩たたき」が横行。再就職も厳しい中、やむなくフリーランスとして生きる道を選んだ人も多かった。イメージは必ずしも良くなかったものの、「大手に入れば安泰」という幻想が崩れ、企業に依存せずキャリアを磨く必要があるという土壌が作られていった。

 さらに、2011年頃からは「ノマドワーカー」「クラウドソーシング」などの言葉も広く使われるようになり、特定の組織に属さない働き方に注目が集まるようになる。「こうした状況の中、新しい技術にも強い20代の技術者が意思を持ってフリーランスになろうとする雰囲気が生まれてきた」(小幡氏)。企業側にも社内に囲い込んだ技術者だけでなく、経験や専門知識を持った外部の人材を積極的に活用していく意識が目立つようになってきたという。

 活用の仕方も様々だ。SEO(検索エンジン最適化)コンサルティング事業などを手がけるSpeee(スピー、東京都港区)では、ギークスのサービスを利用して確保したフリーランスの技術者に若手社員の教育などを託している。エンジニアマネジメント責任者の是澤太志氏は「他の会社での成功体験などを若手に伝えてもらうことで、効果的なOJT(職場内訓練)につながる」と説明する。他のギークスのクライアントでも、フリーランスに開発チームのまとめ役を任せたり、新規事業の立ち上げに参画してもらったりするケースが増えているという。

ギークスでは各種セミナーや交流会を通じ、登録者がスキルアップできる機会を積極的に提供している

 与えられる役割や職責に応じて、より良い待遇の実現が可能になっていることもフリーランスへの動きを後押ししている。ギークスに登録している技術者の平均年収は約800万円に上り、専門技術を持ち経験年数の長い人であれば正社員より稼ぐ人も珍しくない。小幡氏は「技術力はもちろんだが、柔軟性があり豊富なアイデア、高いコミュニケーション能力を持つ人であれば企業からのオファーも尽きない。結果として、意思を持って理想的な働き方ができる人も出てきている」と話す。