「政府が100%の所有者であるという状況から、本日をもって全く不可逆的、つまり、もう取り返すことのできないような道を歩み始めるんだ、ということです」。

 2015年11月4日、東京証券取引所内の会見室。株式上場直後の記者会見に臨んだ日本郵政の西室泰三社長(当時)は、上場企業としての決意を熱っぽく語っていた。NTT以来の大型上場案件として注目を集め、初値も売り出し価格(1400円)を大きく上回る1631円を付けるなど滑り出しは上々。株価はその後、2015年末にかけて2000円近辺まで値上がりした。

日本郵政の西室泰三前社長(写真:北山 宏一)

 それから1年。様々な意味で、上場当日が郵政グループにとって1つのピークだったように思える。2016年に入ると状況が一変したからだ。上場を主導した西室氏は体調不良により退陣を余儀なくされ、マイナス金利導入による超低金利が収益を圧迫。株価は足元で1200円台にまで落ち込んでいる。

 これを巻き返そうと、郵政グループは2016年もファミリーマートとの提携拡大など外部の有力企業と組む案件を打ち出してきた。しかし、株価はほとんど反応していない。郵政グループが本当に必要としているのは外部の力に頼る成長戦略ではなく、内部の地道な改革に取り組むことだからだ。

郵便局再編は棚上げのまま

 棚上げになっている課題は多い。例えば、都市部での郵便局再編。郵便局が地域で唯一の金融・物流拠点となっている過疎地と違い、都市部では拠点の重複も多く、再編余地がある。大半が郵便局の中にあり、機能的にも重複しているゆうちょ銀の支店をどうするのか、業務内容が似ているようで違う物流事業と郵便事業との融合をどう進めるのか、といった課題も残っている。