出光興産と昭和シェル石油の合併計画に出光創業家が反対している問題で、「販売店」の存在が際立つようになってきた。出光の販売店で組織する「全国出光会」が創業家側と経営側に話し合いを呼びかけたり、両社が10月13日に合併の無期限延期を発表した際も、出光の月岡隆社長が自社の販売店に配慮する発言をしたりしている。

 販売店と出光との関係はいかなるものなのか。そして、なぜ彼らは出光の合併計画にまで意見を表明しようとするのか。その答えを知りたくて、販売店を回って声を拾った。

出光佐三氏ゆかりの福岡県の宗像大社前にある出光のガソリンスタンド。以前は地元販売店が経営していたが何度も経営者が変わり、今では出光の直営店舗になっている

 「あそこは地元じゃ有名よ」

 取材で訪れた地方の販売店について、駅前にいる地元のタクシーの運転手に聞くと、大抵そんな言葉が返ってきた。代々続く地場企業が多く、出光の販売店事業以外にも設備工事業やITシステム開発、中古車販売などの事業を手掛けるところも少なくない。コンビニエンスストアのフランチャイズチェーンのように夫婦や家族で営む「家業」といったイメージの規模でなく、多くの従業員を雇い、地元に貢献する歴とした経営体だ。その経営者ともなれば、いわゆる「地元の名士」と呼ばれるような存在で、なるほど、出光の経営に一家言持っていても不思議ではない。