11月に入り、2018年は残すところ2カ月となった。振り返るには少し気が早いが、今年はeスポーツにとっては、「元年」というにふさわしい1年だったのではないか。特に注目を浴びたのは、参考種目として採用されたインドネシア・ジャカルタのアジア大会だろう。採用されたタイトルの1つでサッカー関連の「ウイニングイレブン2018」で日本が優勝というニュースもあった。
企業の枠を超えた振興団体として「日本eスポーツ連合(JeSU)」も発足。スクウェア・エニックス、セガホールディングス(東京・品川)、日本マイクロソフト(東京・港)など大手企業が正会員として名を連ねており、普及に向けた業界の意気込みを感じる。
「コントローラーを操作して遊んでいるだけ。陸上や球技と同じスポーツとは思えない」。そう思う人も多いだろう。「ゲームするくらいなら、外で遊びなさい」。こう言われながら育った人も多いはずだ。私もeスポーツの普及に当初、いささか懐疑的だった。しかし新たな動きを知り、見方を改めた。
国体に合わせて大会を開催
eスポーツに懐疑的な人にとって“心理的障壁”を取り除く1つの契機になるかもしれないのが19年秋に「いきいき茨城ゆめ国体(第74回国民体育大会)」と連動するかたちで実施される予定の「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2019 IBARAKI」だ。JeSUが、いきいき茨城ゆめ国体・いきいき茨城ゆめ大会実行委員会、日本サッカー協会と共催で開き、「ウイニングイレブン2019」を競技種目として採用する予定だという。都道府県対抗にすれば地元愛を刺激されるし、大いに盛り上がるだろう。eスポーツにそんな未来があってもおかしくはない。
海外に目を向けても日本企業発の意欲的な取り組みは注目だ。スマホ向けゲームアプリ開発で知られるアカツキが、子会社を通じて世界的なeスポーツリーグ「リーグ・オブ・プロフェッショナル Eスポーツ(LPE)」を設立。参加資格は厳しく、既にプロのスポーツチーム・クラブを運営しているところしか受け入れない。アマチュアや個人の参加が可能な他のeスポーツの団体とは一線を画す。
現時点で公表されているLPEの顔触れは、豪華の一言だ。スペインからFCバルセロナ、ビジャレアル、ブラジルからサントスFC、など世界各国の有力なプロサッカークラブがLPEへの参加を表明しているという。日本からはJリーグの東京ヴェルディが参加予定だ。複数のゲームタイトルを採用する通年リーグとなる見込みで、独立した仲裁委員会を設置して透明性の高い運営を目指す。
もちろんプレーヤーは各クラブのサッカー選手でなく、あくまでもeスポーツ部門の選手になる。それでも有名クラブが多数参加しているため関心は思いのほか広がっており、eスポーツのイメージ向上につながる可能性がある。
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