環境重視のアパレルが自動車産業を手本に

 実は同社がリユースに挑戦するにあたって参考にしたのが自動車産業だ。

 自動車産業はこれまで中古品市場を充実させ、下取りを前提に新品の購入を促すことで市場全体の活性化を図ってきた。メーカーの競争力の低下は、下取り価格の下落に表れる。

 パタゴニアのコーエン氏は「自動車産業にとっては当たり前かもしれないけれど、イノベーティブな仕組みではないか」と話す。

 特に狙いの4点目は自動車産業の特徴でもある。ブランド力が高かったり、故障しにくいクルマは中古車の価格が高くなる。これを実現できるメーカーは、新製品の値崩れを防ぎやすくなる。

 もちろんリユースの効果だけではないだろうが、パタゴニアは衣料品の販売が好調で、業績は右肩上がりだとみられている。

 よいものを他社より1円でも安く作る。その競争の結果、モノの価格は下落し続け、商品は短命化し、社会にはモノが溢れていく。「豊かになりたい」という消費者の声に応えるのは企業の役割だろう。だが、パタゴニアが試みているリユース強化と製品寿命の長期化は、それとは別の戦い方もあることを示しているように思えた。

本社近くのビーチ。社員たちはここでサーフィンなどマリンスポーツを楽しむという