ところが、企業に入ると書類の作成や雑用など、事業とは直接関係のないように思える仕事ばかりが割り振られることが少なくない。業務以外のコミュニケーションも希薄で、何のために働いているのか分からず疎外感を味わう若者が増えているという。加えて、「社内で派閥などの対立があると、集団で協力している実感も薄れがち」と豊田氏は話す。

 企業は同じ課題に取り組む一つのチームであるはずが、大きな組織になればなるほど社内の立場や力関係などによってうまく連携が取れなかったりする。例えば、業務を効率化しようとITツールを使おうにも、管理部門からは「会社のルールで利用禁止」や「申請窓口を通してもらわないと相談に乗れない」などと軽くあしらわれたりする。

 新規事業で他部署に協力を求めても、「うちの部署が協力するメリットがない」などと断られたりもする。「組織というのはそういうもの」と割り切れればいいが、社会人経験がなかった若者からすると「この集団は本当にチームなのだろうか」と疑問に思ってしまうわけだ。

 こうした仕事への期待と実態とのギャップから、若い世代には仕事を「仕方なくやること」と割り切り、「ボランティア活動などに熱心に参加する」など、他者への貢献や協力して働く場をプライベートに求める傾向があるようだ。実際に内閣府が実施する「社会意識に関する世論調査」を見ても、20代のボランティア活動などへの意欲はほかの世代が20代だったころに比べて高い。「これも職場で貢献したい欲求が満たせない反動とも考えられる」と豊田氏は語る。

社会貢献で社内を統一する

 反対に言えば、社内に対立が少なく、他者に貢献できている実感があれば若い世代は熱心に働く可能性があるということだ。実際、記者が出会ったベンチャー企業で働く仕事熱心な若者などは「社会課題の解決」や「人の幸せのため」といった言葉をよく使い、金銭的な利益よりも社会的な意義や貢献を重視したような行動をする人が多い。こうした熱心に働く若者が所属する企業は、同じく社会的意義を掲げる経営理念をかかげ、その意識が社員に浸透しているようだ。 

 「エモーショナルな経営理念は若者のやる気を出させるのに有効かもしれない」と、豊田氏も賛同する。最近の若者言葉で言えば、“エモい”経営理念を前面に押し出した事業なら、働くことが社会貢献になると実感しやすい。実感が得られる仕事環境であれば、若者も仕事に情熱を燃やすというわけだ。