ジェネリック薬が出ても、長く使われてきた先発薬からの切り替えが進むのに時間がかかる。新薬が登場すれば、医師も当たり前のようにそれを処方する。そして使い始めたら半永久的になる。そんな日本独特の薬の使用がまかり通ってしまっているのが実態なのだ。その背景には、自己負担が低額で済む現行の保険制度の影響も見て取れる。

 医療現場からは、「患者は病院に来たらお土産代わりに薬を欲しがる」という話をよく聞く。そうした要請を断ると、医師はケチと思われてしまう。しかも医師は薬を処方すればするほど、もうかる仕組みとなっている。そんな構造問題を抜本的に改めなければ、「世界の非常識が日本の常識」という状況は長く続くことになる。医療費が膨張する本質的な原因はここにもある。

(日経ビジネス2016年8月8日・15日号より転載)