自動車部品メーカー、デンソーが出展した、餃子を作るロボット。将来、コンビニの店内調理で使われることを想定しているという(写真:つのだよしお/アフロ)
自動車部品メーカー、デンソーが出展した、餃子を作るロボット。将来、コンビニの店内調理で使われることを想定しているという(写真:つのだよしお/アフロ)

 10月16日から一般公開が始まったIoTの見本市「CEATEC(シーテック)ジャパン2018」。初出展のローソンが先端技術を取り入れた「未来のコンビニ」を展示するなど、「商品の披露会」にとどまっていた従来からは大きく姿を変えている。ただ、主催するJEITA(電子情報技術産業協会)が目指す「ビジネスモデルの展示会」(長尾尚人専務理事)のハードルは高い。IoTで繋がった先に、どんな世界があるのか、そこから新たな発見を示せるか。未来への青写真が求められている。

 「IoTなんて誰も言わない。ネットに繋がっているのは当たり前ではないか」。2016年1月、米ラスベガスの国際見本市「CES」の会場でよく聞いた言葉だ。ここで主役だったワードは「スマート」と「VR(仮想現実)」。IoTなど当然。インターネットに繋がることがどんな利便性と可能性を生むのか、それが共通のテーマだった。

「テロリストをいかに事前に発見するか」

 ここでいうVRは、ゲームで遊ぶそれではなかった。様々な先端技術の結集という位置づけで、いわば未来行動の予知だ。例えば、3000人いるショッピングモールで、テロリストをいかに事前に発見するか。カメラやセンサーで状況を把握し、過去の学習データから将来の事象を予測する。「一種の軍需技術だから可能性は大きい」という話も多く耳にした。来場者は、社会課題を解決するための必須技術として、AI(人工知能)やビッグデータの多様な使われ方を意識する。

 CESはこのころから家電というキーワードも使わなくなった。主催者の名称も「米家電協会」から「米民生技術協会」に変わった。世界から、自動車、通信など幅広い業界の大手企業トップが集まり、スタートアップはここを出世の登竜門とも見据えている。15年からは中国をベースとする「CESアジア」もスタート。4000社近くが参加した今年のCESでは、次世代通信「5G」時代の社会の在り方などが話題となった。

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