近年の数字の動きも合わせて見ると、財政がひっ迫する中で配分基準をより厳格にし、薄く広くではなく教育や研究の面で優れた私立大学に手厚く配る仕組みに変わってきていることがうかがえる。

 見直しの方向は歓迎すべきものだが、結果として交付先を決定する行政の担当者の権限強化につながっている面も否定できない。選定プロセスの透明性が十分に確保できなければ、担当者による恣意的な配分を許し、贈収賄の温床になりかねない。実際に東京医科大学の事件は、私学助成の特別補助の一つである「私立大学研究ブランディング事業」をめぐるものだった。

 さらに、先の中堅官僚の指摘通り、この問題は文部科学省に限った話ではない。「選択と集中」「メリハリを利かせる」「財政制約の下、重点化を図る」「優先順位を付ける」――。こうした表現は財務省をはじめとする中央省庁はもちろん、地方自治体の予算関連資料でも頻出する。ある地方関係者も「病院の再編と拠点強化や、中小企業対策などがすぐに思い浮かぶが、機械的に支出するのを見直して認定制度を導入するような傾向は全体的に強まっている」と話す。

 一見すると、官の力を弱めそうな財政難だが、予算の重点化で逆に官の力が強まるというパラドクス。担当者の裁量が大きくなることで生じた隙を突かれた場合、類似の汚職事件は国、地方を問わずに起こり得る。政策決定プロセスの透明化はますます重要度を増している。