MOとは、ローソンが本部と加盟店の新しい関係として提唱している制度だ。導入から6年。簡単にいえば、加盟店に従来より大きな権限を持ってもらう制度なのだが、このことの価値を理解するには、まず現在のコンビニビジネスの構図をおさらいする必要がある。

 コンビニ店舗は現在、本部と加盟店オーナーがFC(フランチャイズチェーン)契約を結んで運営されている。商品開発や物流といった各店舗に共通する機能は本部が担い、商品の発注作業や接客、アルバイトの募集採用など、個別の店舗運営に関わることは加盟店のオーナーが独立した事業主として担当している。

 両者のあいだには、OFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー)やSV(スーパーバイザー)と呼ばれる店舗指導員がおり、本部社員として、本部の方針を津々浦々の加盟店オーナーに伝える役割を果たす。

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 この仕組みは、店舗網の拡大にも役立ってきた。セブンイレブンによると、2015年度に初めて同ブランドに加盟したオーナーのうち、約87%はメーカーやIT、金融、運輸など、小売り・卸売り以外の業界から転職してコンビニオーナーになっていた。

 コンビニ各社のオーナー募集案内には「本部の店舗経営相談員(OFC)が経営に関するアドバイスを行いますので、小売業界未経験でも独立していただける」(セブンイレブン)、「経験がなくても安心して開店を迎えられます。開店後も、スーパーバイザーがサポートいたします」(ファミリーマート)といった説明がある。

 つまり、店舗指導員のバックアップがあるからこそ未経験者でも加盟店のオーナーを務められ、その結果、コンビニ業界は全国5万4000を超える店舗網を築くことができたといえる。本部と、本部から送り込まれる店舗指導員、そして加盟店オーナー。3者の絶妙なバランスがあって初めて、コンビニは生活に欠かせない存在として発展してきたのだ。

小さな本部が全国に点在

 ところがローソンのMO制度は、この構図とはやや異なる。

 マネジメント・オーナーを直訳すると「経営する、管理するオーナー」ということになる。MOはひとつの店舗を家業として営むのではなく、あくまで企業経営者として社員を雇って多店舗経営を目指しているようなオーナーのことを指す。

 MOとしてローソンから認定されると、玉塚元一会長を初めとする経営陣と直につながるメーリングリストに加わって自由に意見できたり、本部の商品開発ミーティングにも参加したりできる。多店舗運営に適したITシステムなどの提供も受けられる。

 恩恵がある一方で、本部から受けていた店舗指導は自前で行わなければいけなくなる。本部から現場に情報が降りてくるのではなく、現場から主体的に本部情報を集めにいくようなイメージだ。「小さな本部が、全国に点在していると想像してもらえればわかりやすいでしょうか」。ローソンMO事業推進部の加藤道夫部長はMO制度をそう説明する。

注)MOは4店舗以上を運営しているオーナーが対象
注)MOは4店舗以上を運営しているオーナーが対象
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 ローソンが2013年秋に発売した高級パスタ。近江牛を使い、紙の包装を採用するなどプレミアム感を演出し、840円と値付けした。本部内には「この値段で売れるのか」と心配する声もあったが、開発ミーティングに参加したMOの「これならいける」という声に後押しされ、発売にこぎ着けたという。

 店舗網を拡大する際、新たなオーナーを探す手間を省けるというメリットもある。MOはすでに多店舗経営に成功している優秀なオーナーであり、新規出店にあたってMOに任せれば本部としても安心できるからだ。

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