日経ビジネスが9月19日号でまとめた特集「サラリーマン終活 定年後30年時代の備え方」。取材班では今回の特集のために、30~70代以上の約1800人を対象に、「退職後の生活に関するアンケート」と題したアンケートを実施した。際立ったのは、「あらゆることが不安」という生々しい声をはじめ、住宅ローンなど家計に関する不安、加齢とともに増す健康面への不安を抱える人の多さだ。30代半ばになる記者はこれまで定年退職後の自分の姿など想像したこともなかったが、30~40代の働き盛りでもこうした不安を持つ人が少なくないことに驚いた。
定年退職後を見越した人生設計や具体的な準備の重要性は特集内でも繰り返し説いているが、実際には多くの人が漠然とした不安を抱えるだけで準備に着手できていないのが現実。だが、重要なのはしっかりした計画や準備だけではない。どのような態度でセカンドライフに臨み、何を生きる上での糧とするかという心のあり方も幸不幸を左右する。そうした意味で、記者が特に印象に残ったのが、シニア層の人材派遣を手掛けるマイスター60を通じて取材をした2人の男性だ。
1人は想定していなかった環境に置かれても柔軟に気持ちを切り替え、再就職先で活躍。もう1人は再就職によって生活にメリハリをつけながら、生涯の趣味で生き生きと汗を流していた。この2人の生き方とアンケートの結果を読み解くことで、セカンドライフの成功に必要な条件についてそのヒントを探ってみた。
「やりたいことすべて実現」は4人に1人
「起業しようと思ったが、できなかった」「思ったより早く健康を害してしまった」「思っていたより、資金のなくなるのが早い」――。これらは、今回実施したアンケートで「退職後の生活において想定と異なることがあるか」という問いに対しての自由回答の一部だ。こうした「こんなはずじゃなかった」という気持ちを抱える人が少なからずいることが浮き彫りになった。
アンケートに回答した30~70代以上の全世代を対象にした「退職後にやりたいと考えていたことを実現できているか」という問いに、すべて実現できていると答えたのは25.1%。実現できていない理由としては資金やノウハウ、時間が不足しているというものが目立った。では、退職後にままならない現実に直面したとき、どのように身の振り方を考えればいいのだろうか。
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