柔軟なキャリアパス、受け入れる土壌を

 大学全入時代と言われるようになって久しい日本では、中学、高校を出て大学に入り、そのまま新卒で就職することが「一般的」だという意識が強まっているのかもしれない。このルートを少しでも外れると、そのルートに戻ろうとしたときに何倍もの努力を必要とする。だからみな、ルートを外れないように、多少息苦しくても我慢しながら生きていくのではないだろうか。

 一方、このルートは今後も「絶対」なのか。プログラミングが得意なら高校卒業後すぐにその道で働き、大学に行きたくなったらそのときに行く――。記者はオーストラリアに留学していた際、現地でのキャリアパスや進学に対する考え方が非常に柔軟で驚いた経験がある。そもそも、現在の学校教育と就職システムは、高度経済成長期に確立したものだ。ここまで社会・経済環境が激変している中で、制度疲労が起きているのは間違いないだろう。

 日本全国には様々な事情から大学に行かなかったものの、熱意をもって社会と関わり、描くキャリアを目指そうとしている人はたくさんいる。

 人手不足が叫ばれ、特に大卒市場では「なかなか採用枠が埋まらない」と嘆く企業が多い。しかしもう少し広く見渡せば、大卒ではない市場にも優秀な人はたくさんいる。これだけIT(情報技術)が普及した今、例え彼らが地方に点在していたとしても、接点を持つことは十分可能だ。

 彼らの熱意をどう生かし、「21世紀の金の卵」として生かすのか。日本社会がその懐の広さを問われている気がした。