お金以上に大人が与えられるもの

 「支援」というとつい「寄付」のようなお金を想像しがちだが、それでけでは本当の支援に結びつかないというのだ。「働きたい」「進学したい」「夢を叶えたい」そういう想いが彼らを成長させ、その成長の過程において初めてお金が必要になってくるのではないだろうか。当然、生きるための最低限のお金は必要だ。一方、林氏がいうように、「ただ生きる」のではなく「よりよく生きる」ことをサポートするために「意欲」や「夢」を大人がサポートする必要があるはずだ。

 国内で子供の貧困をサポートするのはブリッジフォースマイルのみに留まらない。ニートや引きこもりに焦点をあてたNPO法人の育て上げネットなど、日本にも支援団体はいくつか存在する。企業でもニュースアプリ開発を手がけるスマートニュースは、こうした団体に対して1000万円分の広告枠を無償で提供するプログラムを始めた。

 とはいえ、そうした団体自体に対するサポーターはまだ少ない。特に外資企業は支援に積極的な反面、国内大手企業からの支援は少ないという。スマートニュースで当該プログラムを手がける望月優大氏は「サポートする企業や個人にとってのインセンティブが、国内ではまだ少ないことも要因の一つ。サポートすることがクールなんだ、と一般の人たちが思うような雰囲気や文化を作っていかないといけない」という。

 貧困問題は、すでに「社会問題」や「弱者の問題」として片付けられるものではなくなっている。社会保障費の圧迫、労働人口のさらなる欠如など、経済的にみても、企業体にとってもそのインパクトは大きいはずだ。

 国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩社会保障応用分析研究部長は2010年に、「貧困投資は1人当たり7000万~1億円の社会的利益を生む」という試算を出している(参考記事:“最強外資”ゴールドマン・サックスが貧困に投資する理由)。逆に言えば、投資がなければ、その分がロストとなって跳ね返ってくる。

 “社会問題”として貧困を政府や自治体、NPOに任せているだけではなく、ひとり一人が、一企業一企業がこの問題にどうかかわっていくかが、今問われている。