2つ目が人事評価に透明性を取り入れることだ。外国人社員はどう働ければ昇進したり、評価されたりするのかという点をとても重視する。

 グローバルトラストネットワークス(東京・豊島、後藤裕幸社長)は外国人社員が納得して働ける仕組みを導入している。2006年にグローバル社を設立した後藤社長は当初、外国人社員の離職率が50%を超えることに悩み、定着してもらうための仕組みを考えた。いまや離職率は5%にまで下がった。社員の7割が外国人となり、13カ国出身者が働く職場になった。離職率の低下に役立ったのが人事制度の公平性だった。「スポーツのルールのように人事評価を明確にすれば、働きがいが生まれると考えた」(後藤社長)。まず主任への登用方法に立候補制を採用し、全部長の3分の2が同意すればなれるようにした。

 さらに人事評価の透明性を高める評価制度を導入した。チームワークや業務改善への貢献など28項目について、無作為で選んだ8人が評価をする。評価をポイントに換算し、100ポイント貯まれば、5000円昇給するようにした。この評価制度は後藤社長も受ける。公平な評価を導入することで、外国人社員のやる気を引き出そうとしている。

大げさに褒める

 3つ目は家族も巻き込んで信頼関係を築く方法だ。人材開発の森興産が採用しているのが、オヤカクだ。オヤカクとは企業が内定者に対し、自社への入社を親は承諾しているのか確認するプロセスを指す。ここ数年、求人増で学生の売り手市場になり、新卒採用活動では必須の取り組みになってきた。

 森興産は、このオヤカクを海外にまで出向いて行う。社長自ら現地に出向き、オヤカクにいく。森興産では中国やアルゼンチン、アメリカなどの人材が働いている。森隼人社長は「異国の地で働くことにはどの国の親でも心配になる。その気持ちを少しでも和らげるのが重要」という。

 入社後も手厚いフォローは続く。そのひとつが社長と社員の毎日の交換日記だ。森社長はタイやシンガポールなど海外拠点を飛び回っている。本社にいることが少ないこともあり、社員が毎日取り組んだことや感想を日記にして社長にメールで送ることにしている。書式は自由。内容は業務が中心となるが、日々感じていることや悩みを書いても良い。

 森社長は「交換日記を通して自分が学ぶことも多い」と話す。自国のやり方との違いを書いていたり、森社長が出身国へ出張する時にはどのような点に気をつけるべきかも教えてくれる。「社員と距離が近くなるので考えも分かり、離職率も自然と低くなる」(森社長)。

 各社の取り組みは様々だが、共通しているのはいかに長く勤めてもらうか工夫を凝らしていることだ。日本で住む上での不安を解消したり、寂しい思いをさせないための取り組みが目立った。

 日本の大企業の多くは口先ではダイバーシティーの有用性を訴えながら社員の同質化を進めている。それは企業にとって、扱いやすいからだ。しかし、結果的に同質の社員が増えれば、企業を変えていくような革新的な取り組みは生まれにくくなる。

 最近は日本人でも一風変わった”天才社員”が求められている。育った環境が異なる外国人社員もある意味では天才社員だ。天才は考え方や行動様式が少し変わっていることもある。規律や集団行動、同調性を重んじる日本企業の風土に、日本人であってもなじめないというケースもも少なくない。日本人でも外国人でも異質な人材を使いこなせるような企業風土が求められている。

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