福田氏はこれらのプロフィールを、「本人を傷つけないように注意しながらも、思わずニヤリと笑う結婚式の友人代表挨拶のような内容」にするよう気を配っている。プロフィールも政治への関心を持ってもらうひとつのきっかけだと考えているのだ。このアイデアは「オフシーズンにプロ野球選手が参加する大運動会」を観て思いついたという。

 もうひとつの目玉が、事前収録の特集だ。

 今回の参院選では「支える」をテーマに設定。日本会議や連合、日教組といった政治家の票田となっている組織の成り立ちを紹介するだけではなく、彼らの選挙活動にも密着。あまり知る機会のない選挙の舞台裏を詳しく解説した。特集では、これまでタブーとされてきた創価学会と公明党との関係にも踏み込んでいる。

 「池上さんを交えた議論で視聴者が知りたいことを徹底的に掘り下げたうえで、企画をまとめています。選挙は政治のことを学び、考える絶好の機会ですから」と福田氏は語る。

視聴者の目線に立った番組作りにこだわるテレ東の選挙特番

 なぜテレ東が斬新な選挙特番を作ることができるのか。福田氏はその答えが、他のキー局と比べ、テレ東の経営規模が小さい点にあると考えている。

 「在京キー局は昔から『3強1弱1番外地』と呼ばれてきた。3強1弱の順位は時代によって入れ替わるが、番外地であるテレ東の位置だけは不動です」

「番外地って悪くない」

 「でも番外地だから生き残れないというわけではない。むしろ番外地だからこそ新しいことに果敢に挑戦できます。失うものは少ないので、戦略を立てやすい。組織が小さく、意思決定も早い。番外地ってそんなに悪くないんですよ」

 日経ビジネスの9月12日号特集「テレビ地殻変動 ネットTVが作る新秩序」では、米ネットフリックスやアマゾンなどが手掛ける「ネットTV」の脅威を描いた。

 彼らはテレビ局から視聴者を奪うだけではない。これまでテレビ局を支えてきた制作会社や広告主、ミュージシャン・タレントといった演者の“テレビ離れ”を誘発。広告収入で成り立つテレビ産業に大きな構造変化をもたらすことになった。

 ネットTVの浸透は、電波という形でほぼ独占的に映像を視聴者へ届けるテレビ局のインフラにも打撃を与えた。象徴的なのが、4月に起きた熊本地震だ。住民の多くは停電でテレビを視聴できず、スマートフォンを使い、緊急的にネット同時配信されたニュース番組から情報を集めた。