首相の座からあっという間に奈落の底に落ち、そこから這い上がってくる過程では、誰が信用できるのか、そしてどんなメンバーを配置すれば政権運営が回っていくのかを冷静に見極めることができたと安倍首相は振り返る。

 菅義偉官房長官、今井尚哉首相秘書官など、ともに辛酸をなめ、復活を期していた面々が与党や霞が関をコントロールして盤石の政権基盤を維持している現状は、時間と労力をかけて深化してきた「濃い」関係がベースにあるのだ。

 付け加えると、内閣の要として多忙を極める菅氏は今でも朝、昼、夜と会合をこなしている。情報収集と人脈の維持・構築に汗をかき続けることこそが権力の源泉と実感しているからだ。

「党のイメージを変える」と言うが…

 話題を民進党代表選に戻そう。3候補はいずれも「次の衆院選での政権交代を目指す」と強調している。そうであるなら、新代表の下、政権奪還を見据えた信頼できるチーム作りを急がなければならないはずだ。現場感覚に乏しく、裏方ができる人材が少ないと言われて久しいが、そのための素地作りにどれほど注力しているのだろうか。

 「寄り合い所帯ということを言い訳にしてきた部分があるのは否めない。党内のグループと言っても掛け持ちできる緩やかな関係なのだから、もっとお互いの距離を縮める努力を真剣にやっていかなければいけない」。民進のベテラン議員はこう漏らす。

 霞が関との関係もそうだ。誤った「政治主導」の反省を次にどう生かそうとしているのか見えてこない。いい意味で役人を使いこなすための準備をしているようにも思えない。民主政権時に距離が広がった産業界とどう向き合おうとしているのかも不透明なままだ。

 「派閥を作らず、青臭い議論ができるのが民主党時代からの良さだ」。自民党との対比でこう語られがちだが、それだけでは人は動かず、党執行部の求心力も高まらないことを多くの民進議員は肌で感じているはずだ。

 「民進党のイメージを思いっきり変えたい」と蓮舫氏は強調する。上滑りしないためには、いみじくも玉木氏が語るように、古い自民党臭い「義理と人情と浪花節」の世界を軽視せず、足場を固めていくべきだろう。政治は詰まるところ、人間関係で左右される部分が大きいのだから。