以前、民進の支持団体である連合の前会長の古賀伸明氏と会った際、しみじみと話していたのを思い出す。

 「組合活動、労働運動にどっぷりつかり、政治家とも散々やり取りさせてもらった。よくわかったのは、課題を乗り越えるには覚悟と情熱が必要だが、そこに人と人との信頼と共感が加わってはじめて物事が動き、人と人がつながっていくということです」

 「しかも、信頼と共感は一朝一夕で培うことなどあり得ない。酒席をともにしたり、根気強く対話を重ねていく。そんな地道な作業が必要なのです」

人脈構築に汗をかいた安倍首相

 安倍晋三首相と話す機会があった際、古賀氏のこの言葉を話題にしたことがある。「そうなんだよね」と実感を込めていことが印象に残る。

 官房副長官時代、北朝鮮による日本人拉致問題への強い姿勢が共感を呼び、一気に階段を駆け上がった安倍首相。世襲議員として派閥内で早くから別格扱いされ、人気先行の面があったにせよ、人一倍地道な人脈構築の作業を続けていたことが強い足腰となった事実は意外に知られていない。

 周知のように、安倍首相は若い頃から胃腸の難病を抱えながら政治活動を続けてきた。無理がきかない体なのに、当時、平日夜は3件の会合のハシゴは当たり前。土日も地元に帰ったり、テレビ出演をしない限り、議員の依頼に応じて全国を飛び回っていた。

 当時、「番記者」として同行する機会が多く、こちらの方が体力的に参ってしまった記憶がある。その頃の安倍首相の言葉を鮮明に覚えている。

 「政治家同士は貸し借りの関係も大事。いざという時にどれだけの人が支えてもらえるかは、日頃の付き合いで決まる。これはやるしかないんだよね」