移動販売車の活躍の場は、高齢者施設に留まらない。

曲がりくねりった坂道の多い熱海市内を、セブンイレブンの移動販売車が走る(8月上旬、静岡県熱海市、以下セブンイレブン関連の写真はすべて同じ)

 「来た!」「来たよ!」

 エネルギーがあり余る小学生たちの、賑やかな声が響き渡った。同じく8月上旬、場所は静岡県熱海市の学童保育施設。到着したのはセブン-イレブン・ジャパンの移動販売車だ。このとき熱海市内の小学校は夏休み真っ盛り。お昼どきの彼らは「空腹モンスター」と化していた。

学童保育施設を訪れた移動販売車。到着するや否や、子供たちが一斉に群がる。

 高齢者とは違い、トイレットペーパーなど日用品には誰も興味を示さない。小学3年生の男の子が購入したのはチャーハン。いったん会計を済ませたあと、思い出したようにアイスの「パピコ」も追加した。

 「お母さんが『お昼はこれで買って』って渡してくれるんだよ」。男の子は得意げに話す。その手には千円札。えっ、いまどきの小学生はお昼代に1000円ももらうのか! 自分は高校時代でも500円だったけどな……と、本筋とあまり関係ないところに驚きつつ、しかし、男の子の楽しそうな様子に頬が緩む。

お弁当無しでも学童に預けられる

 「夏休みのあいだは学校給食が無いんです。学童ではお昼を持参してもらっているのですが、せっかく学童に登録しているのに『お弁当が準備できない』といって家で留守番させる親御さんもいるんです」。施設スタッフの女性がそう教えてくれた。

 熱海は観光施設の集まる駅周辺こそ賑わうものの、クルマで5分も坂道をのぼれば商店やスーパーは見かけなくなる。「コンビニがここまで来てくれれば、子どもを学童に預けて、安心して仕事に行ってもらえる」(同スタッフ)

わからないことがあったら、気軽に店員のお兄さんに質問できる

 途中、手持ちのお金以上の金額の商品をカゴに入れた低学年の女の子がいた。「お嬢ちゃん、お金足りないみたい」。店員のセブンイレブン熱海中央町店・志方昭夫さんが語りかけると、女の子は固まってしまった。どうすればいいのか分からなくなり、なかばパニック状態になってしまったもよう。

 志方さんはすぐに助け舟を出した。「このアイスはあきらめようか。けどこっちのデザートだったら買えるんじゃない」。女の子はすぐ笑顔になった……とはいかなかったが、涙をこらえてぐっと我慢している。しばらくして、改めて財布を取り出した。きっと子どもって、こうやって買い物のしかたを学んでいくのだろう。