倒産と日付にまつわる統計で、もう一つ東京商工リサーチは調査結果をまとめている。倒産企業の社長の誕生日を調べたところ、1月1日が1156人と圧倒的に多く、次いで1月2日(817人)、1月3日(547人)と続く。友田常務は「正月のお祝い気分で生まれた子どもは甘やかされて育ったんでしょうかね」と笑って話す。これはさすがに納得出来ない。別の専門家に聞いてみることにする。

倒産企業の社長は元旦生まれが最多?
●2000年以降に倒産した企業の社長の誕生日ランキング
(出典)東京商工リサーチ

 誕生日と性格の関係性などを分析する、バースデイサイエンス研究所の佐奈由紀子代表を訪れた。誕生日別の倒産ランキングを見せると「最近では正月三が日に生まれる人の割合は全体に比べ少ないはずです」との答えが返ってきた。何かと忙しい正月は計画分娩などが避けられる傾向があり、4年に一度しか訪れない2月29日に次いで生まれる割合は少ないという。しかし、佐奈代表が約15年前に調査会社などに登録された経営者誕生日を調べたところ1月1日や2日が圧倒的に多かったという。

 誕生日隠しは戦国時代から?

 そこで、東京商工リサーチに問い合わせて見たところ「倒産していない会社の登録データも確認したところ、1月1日生まれの社長が明らかに多かった」「70~80歳代では、忙しい年末に生まれた場合、年が明けた正月に出生届けを出すケースが多かった」と背景を話す。

 さらに、先ほどの佐奈代表によると、「経営者は特に誕生日を秘密にしたい人が多い」と指摘する。東京商工リサーチでは社長の生年月日は聞き取り調査で確認している。正確な誕生日以外を伝えることも可能だ。佐奈代表によると戦国時代には武将は験を担ぎ、自分の生年月日と相性の良い方角というものを強く意識したという。合戦の際には兵を移動させる方角などにも影響する。武将の本当の誕生日は、敵国に知られていけないトップシークレットだったと話す。その名残が現代の経営者にも一部で生きていて、誕生日の登録を便宜的に1月1日としている可能性がある。

 1月1日を誕生日とする社長が多い理由に、年末忙しかった理論と戦国武将理論の2つが出てきた。だが、どちらにせよ本当の誕生日と倒産数が相関するという話には至らない。社長の誕生日と会社の経営状態は全く無関係なのだろうか。誕生日に関しては、昨年に米コロンビア大学が発表した研究結果が話題を呼んだ。病院を訪れた170万人の患者を対象に調査した内容で「1月生まれは高血圧」など、生まれ月ごとにかかりやすい病気が変わるという内容。生まれた時期によって気温や日照時間などは違う。調査が進めば健康と誕生日の因果関係が科学的に説明出来るかもしれない。そうすれば事業経営と誕生日との関係の分析にも道が開ける可能性もでてくる。

 企業が倒産するアンラッキーデーに関してはどうだろう。企業活動は1年を通したサイクルで動いている。世界的に見れば年末の米クリスマス商戦に向けて電機メーカーなどは商品発表や生産のスケジュールを組むし、穀物なども年間で収穫時期は概ね決まっている。人間活動と自然活動のサイクルに1年の企業活動は影響される。業種ごとに、明確に説明出来るラッキーデーやアンラッキーデーは潜んでいる。分析の余地はありだ。ちなみに佐奈代表曰く、9月前半には多くの業種で注意が必要という。「夏の暑さが一段落して、お店などで売上げが伸びやすい。ふと気が舞い上がって、ヘマをする人が多い」とのこと。皆様ご注意を。