この日、点検を担当したのは横浜市の樹木医、横山一平さん。家業の造園業、横山植木の会長でもある。
横山さんは「点検には3段階あります。まず、全部の街路樹を目視などで状態を診断する初期診断。その中で問題のありそうな樹木をさらに調べる外観診断。最後は精密診断。外観診断で異常があると判断した樹木について内部の空洞の状況などを細かく調べます」と説明する。
初期診断のポイントは多岐に渡る。キノコの付着具合、幹や根の空洞、枝枯れや腐朽の有無についてなどだ。ここでなんらかの問題があり、外観診断が必要だと判断するものは20パーセント程度だと言う。中には伐採するなど緊急対応が必要な樹木もある。
外観診断では目視だけではなく、道具を使うなどしてより細かく樹木の状態をチェックする。
空洞化している可能性は見た目でも分かる

横山さんは木槌を取り出し木の幹を軽くトントンと叩きだした。幹の上部には損傷がある。「元々、腐朽した部分があり、そこを巻き込むように幹が成長したラムズホーンと呼ぶくぼみがあります。幹の内部は空洞になっているのでその程度を調べます。ほら、この部分を叩くと音がカンカンと響くでしょう。空洞になっている証拠です」と叩く位置を変えながら話す。
幹が空洞化する大きな要因として損傷以外にはキノコの付着がある。特に木の根元に付着するベッコウタケなどのキノコ類は要注意だ。葉も茂り、一見して樹木に問題ないように見えるが、木の根元の中心部を腐朽させるからだ。根元の幹が空洞化するので倒壊しやすくなる。
精密診断では細い針金を樹木の内部に差し込み空洞の割合を調べる。幹全体の断面積に対して空洞が10パーセント未満なら「大きな危険はないが、今後も観察が必要」と判断するが、50パーセントを超えるような場合は倒壊の危険があるので伐採を検討する。

横山さんは「100本調べると大体3~4本が危険な状態で伐採するなどの対策が必要になる」と話す。
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