その言葉の通り、天狼院書店が開催するイベントは、「学び」をテーマとしたものが多い。ものを学ぶ手段は書籍だけではない。人に直接教わる体験も書店の商品だというわけだ。三浦代表をはじめとするスタッフが文章執筆の極意を教える「ライティング・ゼミ」や、プロのカメラマンによる写真教室「フォト部」など、朝と夜に開催されるイベントが活況を呈している。なかでも「ライティング・ゼミ」は、これまでに3500人以上が受講したという。

自らコンテンツをつくれる書店に

 書店がイベントを開催する利点としては、集客や知名度向上はもちろん、イベント参加費や飲食代といった売り上げにより、利益率を上げられることが大きい。その利益を設備投資に投入することで、天狼院書店は2013年の開業から短期間で全国5店舗に拡大した。「今後の出店についても、全国から引き合いがある」と三浦代表は語る。

 しかし、文章執筆や写真といった制作技術を中心に学ぶイベントを開催する背景には、もうひとつ隠れた狙いがある。それは、書店を舞台に次々と企画を実現する「クリエイター集団」を作ることだ。

「スタッフの大半はもともと天狼院書店のお客さんだった。ライティング・ゼミで文章執筆を学んだ人を採用するなどして、組織を拡大してきた。ライターやカメラマン、デザイナーなど制作スキルを持ったスタッフが多く、各店の店長にいたっては、自分で編集・執筆・撮影ができる」(三浦代表)

 雑誌『READING LIFE』を自ら編集・発行し、9月からはウェブメディアの運営も開始するなど、書店でありながらコンテンツを自ら作れるのが、天狼院書店の大きな強みだ。制作できる人材が店頭に立つことで、客のニーズをイベントや書籍販促の企画に素早く反映できるという利点もある。