記者は今夏、重工系造船の主要3社の社長、造船担当役員に取材する機会があった。かつては「造船大国」日本を担う企業群として、似たり寄ったりの経営スタイルや価値観だった重工系だが、ここにきて一気に各社の独自色が強まっている。

自力成長図るジャパンマリンユナイテッド

 生き残り策、その1。自力成長による正面突破を図るのがジャパンマリンユナイテッド(JMU)だ。JMUは旧NKKやIHIなどの造船部門が結集し、2013年に発足した企業。旧海軍工廠でかつて戦艦大和を建造した呉(広島県)のほか磯子(神奈川県)、有明(熊本県)など全国に7つの造船所を有する。

売上高5000億円を目指すJMUの三島社長(撮影:北山宏一)

 三島愼次郎社長は「日本は貿易立国だ。海洋資源開発やシーレーン防衛などを考えても、日本にとって造船は絶対に必要な産業」とのスタンスを示す。統合で集まった開発・設計陣の効率的な運用で技術力を高めつつ、コンテナ船やタンカーなど、各造船所がそれぞれ得意とする船の種類を分担、連続建造して生産効率を引き上げるという方針だ。
 そのうえで、中長期的に売上高は現在の約5割増の5000億円を目指す。コストの65%を占める材料費のコストダウンには規模拡大が欠かせないという。他社との提携も否定はしないものの、ひとまずは自ら計算できる範囲での成長戦略が基本だ。

専業系との協調図る三菱重工

 生き残り策、その2。ライバルである専業系造船との協調路線。その代表格が三菱重工業だ。造船の名門ながら、収益性の低下などの課題を解決しようと、今治造船、大島造船所、名村造船所という専業3社との提携路線に舵を切った。
 長年の歴史や人材を背景に高度な技術力が必要な船型の開発・設計など、上流部門ともいえるエンジニアリング機能を三菱重工が3社に提供。建造コストが相対的に低い専業各社が実際の現場を担うという相互補完的な構想を描く。

今治造船などと提携した三菱重工の大倉執行役員(撮影:北山宏一)