経営失敗についてロジカルな説明はないまま

 久美子社長は「(これから)3年でビジネスモデルの転換が完了、4年目から相当な利益が出る」と言い切っていたのだ。まさに今年がその4年目にあたるのだが、相当な利益どころか最終赤字から抜け出せず、自力再建を断念するまでに追い込まれたのはなんとも皮肉としか言いようがない。

 久美子氏は一橋大学の経済学部を出て富士銀行(現みずほ銀行)に入行、コンサルティング業界にも身を置いたことがあり、ロジカルな議論が得意だ。当時の記者会見で公表した中期経営計画の数字(のちに撤回に追い込まれた)についても「かなり精査したが比較的保守的な数字。確度は高い」と自信満々だった。そして親子喧嘩などと書き立てるマスコミに対しては「親子とか私が女性経営者であることで、そういう観点での関心が広まっているが、本来はそういう問題ではない」と苦言を呈し、「評価の仕方は様々で感情や価値観も入るが、一番見てほしいのは数字の事実なんです」と声高に叫んでいた。

 そしてふたを開ければ今期まで3年連続の下方修正、最終赤字というわけだ。これはまさに見てほしいといっていた数字の事実。久美子社長はこれをどう受け止めているのだろう。個人的には、ロジカルに明快に、なぜ見込みが違ったのかを説明してほしいところだが、今のところ久美子社長からはそうした発信はない。仮になぜダメだったのかを明確に説明できていれば、改善策もわかっているに違いないと改めて今後に期待するという向きもあろうが、最近は根拠の薄い精神論ばかりというのが実情だ。

父、娘、どちらも“勝者”ではない

 勝久氏が経営権を掌握していたら大塚家具は安泰だった、という保証はない。勝久氏が立ち上げた昔の大塚家具のコンセプトを継承した匠大塚も、必ずしも好調という話は聞こえてこないからだ。業界関係者の中では「父、娘、どっちが勝っても、大塚家具が伸びることはないと思っていた」という声は多い。

 だが事ここに至っては、もはや父・娘のどちらの経営方針が良かったかを論じているときではないだろう。資金繰りは火の車で、大げさな表現ではなくまさに会社は存亡の危機にある。こうしてスポンサー交渉が難航している間にも、会社の体力はどんどんむしばまれていく。久美子社長のことを「勝ち気で負けず嫌い」と評する人は多い。だが社長は多くの社員や株主、つまりステークホルダー(利害関係者)の人生、財産を左右する立場にあるということを考えてほしい。今の最優先事項は会社の「維持」だ。個人の「意地」はどうでもいい。