順風満帆かに見えるALEの開発。だが、あらゆる開発案件がそうであるように、人工流れ星にも大きな課題がある。ビジネスとしてどう成立させるかだ。

 お気付きの方もいると思うが、流れ星が見える範囲は半径約200kmと大きい。ということは、例えば冒頭に紹介したようなプロポーズのシーンで流したとしても、流れ星は2人だけのものではなく半径200km圏内にいるみんなのもの、ということになる。金額も、人工衛星から放出するのだから、一個人が負担できるレベルをはるかに超えるだろう。民間企業による小型・低額ロケットの開発が進んでいるとはいえ、現時点では打ち上げコストは数億円と高額だからだ。

 そこで現在、岡島氏が模索しているのが、「夜空の流れ星をみんなで楽しむ」というエンターテインメント・ビジネスだ。例えば、アーティストとコラボレーションして夜空をキャンバスとした巨大な流れ星アートに、あるいはドローンや気球を一緒に飛ばして航空ショーに、はたまた地上のコンサートなどと組み合わせて 一大フェスティバルに---。オリンピックなら、開会式で参加国が紹介されるたび、その国の首都に流れ星を流す、ということも考えられる。話を聞いているだけで、ドキドキワクワクしてくるのを感じた。

「これは絶対にすごいことになる」

 とはいえ、世間はそれほど甘くはない。ALEは2015年に個人投資家からの資金調達に成功してはいるものの、機関投資家などを説得できる事業計画をまだ打ち出せていないのが実情だ。「みんなで楽しむ」以外に、宇宙から様々な素材の粒を大気圏内に突入させ、光り方などを検証することで科学技術の発展に役立てる道も探っている。だが後者は、社会貢献的な意味合いが強く、ビジネスとしての価値は生み出しにくい。

 確かに事業性に課題は多いかもしれない。それでも「頑張ってほしい」と記者が思ってしまうのは、岡島氏がそんな世間の反応にへこたれていないのを感じるからだ。岡島氏はこんなことを言っていた。

 「会社を立ち上げるなら、投資家目線が必要だと思って金融業界に入った。でも、私にはその目があまりなかったみたいで…。投資家だったら、私たちがやっていることはやってはいけないことなのかもしれない。でも、『これは絶対にすごいことになる』という確信だけはある。宇宙だから初期投資はかかるけど、だからこそやっていて面白いし、面白がって我がことにように協力してくれる人も現れ始めている」

 見通しが立つビジネスばかりではつまらない。こんなぶっ飛んだ発想で我が道を邁進する経営者がいてもいいし、それが岡島氏の引力になっているのだと思う。