渡部氏らが開発を進める、粒を衛星から送り出す機構。一部が破損しても粒が飛び出して宇宙ゴミにならないように、すべての粒を小さな部屋で囲っている。ちなみに衛星は役割を終えた後、自らも流れ星となり宇宙ゴミを出さない

 こうした緻密な技術を確立するために岡島氏は、日本屈指の研究者たちとタッグを組むことに成功している。

 まず岡島氏自身、東京大学の理学部天文学科を卒業し、博士号まで取得した研究者。学生時代から人工流れ星を実現できると考え、「いつか事業化してみたい」と金融関連企業やコンサルティング企業などで経験を積み、2009年からは、働きながら研究費を捻出し、人工流れ星の研究に打ち込んだ。

 実際に研究を本格化してみると、様々な課題があることが分かってきた。人工衛星を開発するベンチャー企業のアクセルスペース(東京千代田区)と人工衛星の開発を進める中で、首都大学東京・システムデザイン学部航空宇宙システム工学コース教授の佐原宏典氏を紹介してもらった。その後、日本大学理工学部航空宇宙工学科准教授の阿部新助氏、メカの開発では帝京大学理工学部航空宇宙工学科講師の渡部武夫氏との連携も始まった。メカはまさに、高い精度で衛星から粒を放出するのに不可欠な技術だ。

夜も明るい東京でも観測できる

 小さな粒を大気圏に突入させるといっても、素材やサイズが何でもいいというわけではない。どのくらいの長さでどのくらいの光を放つのかを知るため、佐原氏や阿部氏の協力を得て、JAXAのアーク加熱風洞という設備を使って実験した。風洞の中に大気圏に突入するのを擬似した環境を作り、開発した粒がどのように光るかを検証したのだ。

 その光が下の写真。現時点では、青、緑、オレンジの3色を発生できるめどが立っているという。「夜も明るい東京でも見えるくらいの光度があることを確認している。1~2cmの粒で2~3秒は流れる」(岡島氏)。

風洞実験の様子。青い光の場合。
緑色の光。
オレンジの光も。