内定サプライズも

 今回の取材のきっかけになった会社が2社ある。そもそも就活生に内定を出す際に凝ったサプライズ演出をしている企業だ。

 その1社が広告会社のJR東日本企画(jeki)だ。同社はJR東日本駅内や社内の広告を取り扱うなど就活生には人気だが、電通や博報堂といった最大手がいるため、人材獲得には熱心に取り組んでいる。そんな同社は、最終面接を終えた就活生を後日呼び出すことがある。内定かどうかの判断の前に一度会っておきたいと人事担当者から言われた就活生は緊張の面持ちで同社へ向かう。

 まじめな話が続く中、おもむろに人事担当者が机の上に小さな箱を置いた。ちょっとした記念品ですと前置きして「開けてみてください」と就活生に伝える。開けた箱の中には真新しい名刺入れが入っている。恐る恐る中を開ける就活生。その中には就活生の名前が入ったjekiの名刺が入っており、人事担当者が笑顔で「おめでとう。内定です」と話しかける。

 ブライダル事業を手掛けるノバレーゼもフラッシュモブでのサプライズ内定出しを行っている。詳細はネタバレを避けるためここでは非公開にするが、ノバレーゼ人事本部の高橋麻菜美人材開発部長は「内定のうれしさと驚きで泣いてしまう方も多いです」と説明する。熱意をもって多くの社員が自分に向き合ってくれていることに心を打たれて、入社の意思を固めることにもつながっているという。ちなみにネタバレを避けるために、呼び出し方や内定を知らせる方法は何通りもあり、毎年変化させているという。

 内定者に対する企業の工夫は、人材獲得が難しい中での必死の取り組みだといえる。どの企業も知名度がある企業だが、そこに胡坐をかかず懸命に動く姿勢を就活生は見ていることを知っているのだろう。マイナビの調査によると、7月末における内定率は72.7%で前年同月の69.1%を上回る高い数字であり、採用の厳しさを表している。来年の採用も激戦が予想されるだけに、こうした取り組みを行う企業はますます増えていくだろう。