これまでの紋切り型の研修や懇親会が変化の兆しを見せている。実際にディップのように体験型イベントを通じて会社理解を深めてもらい、複数の企業の中から自社を選んでもらうようにする企業が増えている。

ノベルティグッズを企画するストライプインターナショナルの内定者研修
社員や内定者がコミュニケーションできる社内SNS「amily」

 例えばアースミュージック&エコロジーを展開するアパレル企業のストライプインターナショナルは、今年から内定者にノベルティグッズを企画、プレゼンしてもらい、プレゼンを通過したグッズを実際に作成する研修を始めた。7月、300人ほど集まった内定者は8人1組になって、グッズの企画を始めた。パスケースやトートバッグ、歯みがきセット、ネックホルダーなどアイデアは湧き出るように出てくる。

 どのグッズを作るかが決まるプレゼンは8月に実施する。それまでに内定者間で綿密に打ち合わせが起こる。「モノづくりの過程でワイワイと相談する中で会社の商品企画の仕組みや同期の顔ぶれを知り、より会社に引き付けられる」とストライプインターナショナルの神田充教人事本部長は説明する。

 同社がうまいのは、さらにコミュニケーションが進むシカケを用意していることだ。社員およびアルバイト全員とつながる社内SNSのスマホアプリ「amily(アミリー)」を用意していることだ。内定者間はもちろん、内定者が知り合った同社社員と自由にコミュニケーションできるようになっている。

1万円料理も体験型イベントで人気

 タクシー会社が料理を作る研修を行っている。そんな噂を聞きつけて向かったのがkmタクシーで知られる国際自動車だ。取材に応じた国際自動車人財採用研修担当の川田政執行役員は、「なぜタクシー会社が?とよく言われますが、深い意味があるんです」と言う。

 料理研修は内定者が5名1組になって対決する。くじを引いて、組ごとの予算を決める。2500円しかないところもあれば5000円使える組もある。その範囲内で買い出しをして料理を作る。テーマは夏らしいものという縛りがある。買い出しする内容の相談をし、買い出し後に料理する際も誰が何を担当するかの相談がある。例えば料理が不得意な内定者は洗い物をしたり、配膳をしたりするなど自然に役割分担が発生する中で、自分以外の内定者への理解が深まる。

 「予算の制約があって納期がある。それをチームで役割分担して進める。やり遂げたときの達成感もある。ビジネスの疑似体験でもあり、同期の絆を深めることで入社への不安も減る」(川田氏)という狙いだ。

 スーパー運営の成城石井も料理研修を行っている。4人1組に1万円の成城石井の商品券を渡し、デザートや惣菜を企画してもらう取り組みを始めている。今回で3回目になるが、「内定者の評判もよく、企画として続いています。とても有意義な1万円です」(成城石井の千葉文雄人事部部長)。成城石井の店舗でどんな商品が販売されているのか、価格帯はどうなのか、味はどうかなど実際に体験することで理解が深まる。内定者同士で料理を作るので連帯が深まるというのは先ほどの国際自動車と同様だ。