この冊子を発行するのは、地元飲食店などでつくる歌舞伎町商店街振興組合。宿泊客に「安心して利用できる店を紹介したい」と考えた藤田観光などの働きかけで、14年に周辺の3つのホテルが参加する「コンシェルジュ委員会」を立ち上げ、冊子を作製。実際に女性コンシェルジュが組合のメンバーと共に体当たりで店を訪ね歩き、「現地確認」をした上で掲載する店を選び抜いた。委員会では、定期的に勉強会を開いて歌舞伎町の新スポットなどの情報を交換し、宿泊客に「歌舞伎町の最新情報を提供できるように、レベルアップに努めている」(コンシェルジュの渡辺氏)。

 歌舞伎町商店街振興組合の手塚マキ理事は、「街を訪れる外国人旅行者はここ数年で、何倍にも増えた。有志が集まってゴミ拾いのボランティア活動をしたり、自治体や警察とも連携して、歌舞伎町をクリーンな街にする活動を進めてきたことも大きい。歓楽街のイメージが強いが、最近は歌舞伎町が持つエネルギーに惹かれて、原宿からアパレルの店が移転してくるなど、多様な人が集まる街に変わりつつある」と話す。

 以前は治安の悪さなどから外国人から敬遠されることも少なくなかった歌舞伎町は、今では、多くのインバウンド旅行者が足を運ぶ「聖地」になりつつある。その背景には、地域が連携して続けてきたこうした地道な活動があった。

 「東京は世界のどの都市とも似ていない、ユニークな街だね」

 以前、外国人の知人が筆者にそう言った。東京や日本が持つユニークな価値――。当の日本人には見えにくいそれを再発見し、伝えるところから、真の観光立国への道が始まるのかもしれない。