どの候補者も自身のサイトを作り、そこで政策や基本理念、プロフィールなどを公開している。最近では演説の動画や、フェイスブックやツイッターといったSNS の公式アカウントも用意し、選挙期間中は日々の活動の様子などを公開している。

 その意味では、どの候補もネットをそれなりに活用していると言えるだろう。多くの候補が「一緒に撮影を」「SNSにアップしてください」などと有権者に訴えるようになったのも、SNSの拡散力を評価しているからに違いない。

 そんな中でも、特にネットの拡散力が大きかったのが、参院選に出馬した三宅洋平氏だった。三宅氏は音楽と演説を組み合わせた独自の選挙運動「選挙フェス」を強みに、選挙活動最終日、東京・品川で開いた選挙フェスでは約2万人を動員したとも言われている。

三宅氏の選挙フェスの様子。品川駅前に多くの有権者が集まった
三宅氏の選挙フェスの様子。品川駅前に多くの有権者が集まった

 今回の選挙で三宅氏の当選は叶わなかった。だが得票数は25万以上にのぼり、「想定以上に票を集めた」と評価する関係者の声もある。そして、この25万票に大きな影響を与えたのがネットの拡散力だった。

 三宅氏のネットでの影響力はほかの候補者と比べて群を抜いていた。参院選の活動期間中、三宅氏の名前は、インターネットの候補者別検索数の中で、トップ当選を果たした蓮舫氏を抜いていたという。さらに選挙期間中の6月23日、JR高円寺駅で開かれた「選挙フェス」の様子は、動画共有サイトYoutubeで、これまでに75万回も再生されている。

 確かに三宅氏のサイトなどを見ると、ほかの候補とは様子が違う。例えばYoutubeにアップされている「選挙フェス」の動画は、単に候補者が話す様子を撮影したというよりも、ミュージシャンのライブ映像のように撮られている。プロモーションビデオのように編集されたものもあり、政治家の演説を聞いているという感覚なし、三宅氏の演説を聞くことができる。

 若い世代を中心に、選挙に興味のない層でもアレルギーを持たずに視聴できる工夫がなされているのだ。これが新鮮だと、選挙期間中、次々にSNSなどで拡散されていった。

フェイスブック、ツイッターよりもライン、インスタ

 三宅氏自身も選挙期間中、その手応えについて、「以前(2013年に出馬した参院選)はリアルとネットの違いをまざまざと感じさせられた。けれど今回はネットでの盛り上がりが現実の手応えと近づいている」と語っている。それだけネットの影響力が現実の選挙活動にも影響するようになったということだろう。

 さらに三宅氏は選挙中に活用するSNSのツールにも工夫を施していた。三宅氏を支持するのは若年層が多い。そこで三宅氏らの陣営は若年層にきちんと響くよう、SNSの戦略を練っていた。

 三宅氏は「フェイスブックもツイッターもおじさんがやるもの。若い人たちはLINEやインスタグラムを使う」と説明。LINEを活用して、有権者が自分のLINEに登録している知り合いや友達に、三宅氏への投票を呼びかけられるようなツールを用意していた。

 選挙フェスの様子をライブ映像のように撮影して動画共有サイトにアップしたり、活動の告知や報告そのものも音楽フェスのチラシのような形で打ち出したりした狙いについて、三宅氏は次のように説明していた。「若い人にとって選挙は政策論争よりも“性格論争”。どの人が自分とぴったり来るかが重要になる。その候補者のたった1枚の写真で、『この人いいな』と思われるかどうか。若い子たちは『政治はファッションじゃないんだ』という声には屈しないし、音楽やカルチャーに親しむ感覚で、政治にも近づいている」。

 だからこそ、これまで政治に興味を持たなかった若い子のアンテナに触れさせるため、動画や写真の見せ方にこだわり、彼らに最もフィットするSNSで拡散させていった。

次ページ Youtubeを見て駆けつけた山本KID徳郁氏