数字の力を借りるときには、偏った使い方に注意する必要がある。

 先日、「高齢社会に求められるイノベーション」に関する講演を取材したときのこと。経済産業省の担当者がこんな話をしていた。

「日本の高齢化率は、世界一です。これは、90歳、100歳まで元気に生きられる高齢者がたくさんいるからです。エイジングを日本のアドバンテージと捉え、シニアライフのQOLを向上させるイノベーションをもっと発展させるべきではないでしょうか」

 国の推計によると、日本の人口に占める65歳以上の割合(=高齢化率)は2016年に27.3%。国民の4人に1人が65歳だ。2050年には、高齢化率は37.7%に達すると見込まれている。世界中がいまだかつて経験したことのない超高齢社会において、日本がシニアビジネスを一大産業に築きあげる意義は大きい。

 ただ、ちょっと引っ掛かる点があった。

 高齢化率が高いのは、果たして、長生きする高齢者が多いからだろうか。

 確かに医療提供体制や公衆衛生が整っていることによる「長寿」は、高齢化率を上昇させる一因ではある。しかし、それだけではないはずだ。日本の場合は、少子化、すなわち18歳未満人口の減少が、高齢化率の上昇に拍車を掛けている。

 高齢者の生活を支え、最期までいきいきと暮らすための施策やイノベーションを論じるためには、高齢化率の高さよりも、平均寿命の長さに着目した方がしっくりくる。

 それから数日後、病児保育サービスを手がける認定NPO法人「フローレンス」代表理事の駒崎弘樹さんのフェイスブックの投稿を見て、同じことを感じた。