せっかくスタジアムへと応援に繰り出したのに、ひいきのチームは苦しい試合運び。なんだか盛り上がらないなあ、これじゃあ仲間との会話も弾まない。そう思っていると、手元のスマートフォンにプッシュ通知が届いた。

 「さきほど注文されたドリンク、実は○○選手もお気に入り! もう1度頼んで、○○選手の後半の活躍を応援しよう!」

 そんな、新しいスポーツ観戦を可能にする「スマートスタジアム」の実現に向け、みずほフィナンシャルグループ(FG)が動き出した。めざすのは、スタジアムと観客とがスマホアプリを通じてよりリアルタイムに、濃密につながる新たな消費体験。その過程で生まれるデータを新たな収益源に育てるべく、試行錯誤が本格化している。

絶好の観戦日和となったこの日、みずほフィナンシャルグループは富士通などとキャッシュレス化の実証実験を行った(5月下旬、富士通スタジアム川崎)

 5月下旬、アメリカンフットボールの拠点として知られる富士通スタジアム川崎(川崎市)。社会人アメフト屈指の強豪、富士通フロンティアーズとオービックシーガルズの対戦にあわせて、ある実証実験が行われていた。

 みずほFGや富士通などが企画したこの実験は、スマホアプリ上の電子チケットだけで入場し、現金ではなくアプリ決済で売店の飲食物を買えるようにするというもの。この日に合わせ、なりすましを防ぐ生体認証や、決済するとリアルタイムで付随情報が蓄積されていく仕組みを構築した。

アプリ決済で商品受け取りがスムーズに

 利用者はアプリを開き、購入したい店舗名をタップ。メニューから買いたい商品を選び、個数を入力して「購入する」ボタンを押す。店舗まで出向いて確認番号を伝えれば、お望みの商品を受け取ることができる。

ネット通販で商品を買うのと同じような感覚で、注文できる。席からでも注文可能なので、事前に注文しておいて、試合のハーフタイムに受け取りに行く、といった使い方もできる。

 店舗側では、注文が入ると数秒後に手元のタブレット端末で通知音が鳴り、受注状況が表示される。商品を用意したら、あとは利用者がやってくるのを待つだけ。決済はアプリ上で終わっているので、何の作業も必要ない。商品を渡して完了ボタンを押すと、商売が成立。販売データが次々と記録されていく。