2014年度の国民医療費は41兆円に上る。薬剤費の一部は、入院料に包括化して算定されているため、このうち実際にかかった薬剤費がいくらであるかは明らかになっていない。ただ、総薬剤費は医療費の22~28%、金額にして10兆円規模になると複数の研究で試算されている。

 もっとも、安易に薬価を下げることは、製薬会社の開発意欲をそいでしまう。がんや難病といった患者数が限られる疾患では、一定規模の患者数を集めて有効性や安全性を科学的に検証する「臨床試験」の実施に膨大な費用がかかる。しかもオプジーボをはじめとする「バイオ医薬品」は、培養細胞などを使って製造するため、化学合成に比べて製造コストも高くつく。薬剤費の抑制を製薬会社だけに押し付けていても解決しない。

 国民医療費の内訳を見ると、後期高齢者医療給付分が13兆円(32.8%)を占める。「高齢者は高額薬剤を使うな」とまでは言わない。しかし、支払い意思額の国民調査が、世代間での適切な配分比や医療保険制度の抜本的な見直しについて、国民一人ひとりが真剣に考え、声を挙げるきっかけになってほしいと願っている。