7月20日、ひっそりと資金調達の記録が塗り変わった。

 大手銀行やベンチャーキャピタルによる大口投資ではない。インターネットで小口資金を募るクラウドファンディングの国内調達記録である。けれどこの小さな記録更新から、潮流の変化が読み取れる。

 記録を破ったのは、風変わりな“自転車”だった。クラウドファンディングサービス「マクアケ」で資金調達中の電動バイク「グラフィットバイク」だ。約50日で1億718万円の投資を集め、国内記録だったソニーのスマートウオッチ「wena」の記録を破った。

1億円を集めた「グラフィット」。日本では原動機付自転車の扱いとなるためヘルメットの着用が必要だ

 グラフィットは、単純に言えばペダル付きの原動機付自転車である。モーターだけで電動バイクとして走ることも、ペダルをこいで自転車として使うことも、その2つをハイブリッドさせたアシスト付き自転車として使うこともできる。

 「風変わりな“自転車”」と表現するのは、日本の法規上は原動機付き自転車に属するためだ。公道利用に当たってはナンバープレートの取得とヘルメットの着用が必要となる。

 マクアケを利用したグラフィットの資金調達は、予約販売に近い。1台の購入権を得る代わりに、その分(11万2500円)を消費者が投資する。ただし、消費者にとってクラウドファンディングはあくまで「投資」の一手法であり、完全な「購入」とは言えない。集まった資金で事業者はモノを製造するため、様々な事情で製造が頓挫するリスクがあるからだ。それでも、多くの消費者がグラフィットに投資したわけだ。

 記録更新の予兆はあった。調達開始は5月30日。開始直後から投資が殺到し、調達目標額だった300万円をわずか3時間で達成した。用意していた約400台の枠を3日で売り切り、約600台を急遽追加した。追加分が完売すれば調達額は約1億2000万円まで伸びる計算だ。

 記録超えの理由は2つある。